【丸の内Insight】三菱UFJ次期トップ選び本格化、来春に新体制
(ブルームバーグ): 皆さん、こんにちは。布施太郎です。今月のニュースレターをお届けします。
経済記者にとって取材対象企業のトップ人事は重要なテーマです。企業は人で成り立っているということを考えれば、かじ取りを誰が担うかによって進路が大きく変わるのは自明です。その企業が抱える課題は何なのか。課題解決にはどのような知見や能力が必要なのか。もちろん時代や環境によって求められるリーダー像も異なります。そうしたことを取材先と議論しながら考えます。
一方で、人の集合体である企業は、それぞれ固有の権力構造を抱えています。派閥であったり、合併企業であれば旧社のグループであったりします。その権力構造に分け入り、どこまで取材を深めることができるのか。記者の力量が問われる局面でもあります。
自分自身がこれまで深く取材できたという自負も成果もありません。ただ、かつてある大手銀行のトップに後任の要件を尋ねた際、最初に挙がったのは、「トップの権力を自分のために行使しない人」でした。その発言で候補の1人と考えられていた人物がすでにリストから外れていることを知り、驚いた記憶があります。
今回は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のトップ人事の行方に焦点を当てました。国内最大の金融グループはどのような人物に未来を託すのでしょうか。
指名委が大詰め議論開始
MUFGが次期トップ選定のプロセスを本格化させる。亀澤宏規社長は来春で就任から5年となるが、このタイミングでMUFGとグループ中核の三菱UFJ銀行は新トップの下での体制に移行する見通しだ。金利のある世界の到来や急速に進むデジタル化で経営環境が大きく変わる中、国内最大の金融グループのかじ取りを誰が担うのか。トップレースは最終局面に入る。
指名委員会等設置会社となっているMUFGは、社外取締役を中心に構成する「指名・ガバナンス委員会」が取締役の選解任を決める。5人の委員のうち、亀澤社長以外の4人が社外取で、委員長は筆頭独立社外取締役の野本弘文氏(東急代表取締役会長)が務める。