予約の取れない客単価5万円の店での接待が完全に裏目に出た…高級店で場を白けさせた元電通社員の痛い教訓
■社長、部長、課長以下で「用意する店のランク」はどう違うか 取引先を会食で接待する場合、まず社内で予算を取っておかなければなりません。1人当たりの予算の目安は、接待相手の役職別では、社長をはじめとするエグゼクティブクラスなら2万円以上、役員クラスなら1万5000円以上、部長クラスなら1万円以上、課長以下の現場クラスなら7000円前後、と考えておいてください。 【この記事の画像を見る】 ただし、長年の取引実績がある、または大型の発注が見込める得意先なら、予算を増額してもいいでしょう。 上記の予算には、お酒の料金も含まれます。とりわけ、夜の会食が、フレンチやイタリアンなどの洋食の場合は要注意。ワインが付き物で、予算をオーバーしがちなのです。私も電通時代、ゲストの役員が8万円以上する高級ワイン「オーパス・ワン」を何気なく注文してしまい卒倒しそうになった“黒歴史”があります。会食に同席していた役員に、苦笑いをされながらも何とか許してもらって事なきを得たのですが、そうしたトラブルを回避するため、予約した店とは事前に予算総額とともに、勧めるお酒の種類や量についても取り決めをしておくべきです。予算を上回りそうな高いお酒は、あらかじめリストから外しておいてもらうといいでしょう。 「飲み放題コース」なら、予算の上限額は気にしなくてすみますが、飲めるお酒の種類がリーズナブルゾーンに限られる場合が多いのが難点。利用するのは、課長以下の現場クラスとの会食にしましょう。 経費節減や物価高騰などのあおりで、いずこの会社も接待の予算管理が厳しくなっていますが、それだけに「最近、接待の質が落ちた」と、ゲストの満足度も低下しやすくなっています。ホストが自腹を切って、補てんできればいいのですが、それも難しい場合、「ウチも、今年度から交際費を○%もカットされちゃって……」などと、愚痴交じりにあらかじめ先方に伝えて、期待値を下げておくといいでしょう。 ゲストによって、招待する飲食店のランクも変わるわけですが、世の中にはさまざまなジャンル、コンセプトの飲食店があります。 その中から接待に適した店をどうセレクトすればいいでしょうか? ジャンルで言えば、私がお勧めしたいのは和食。当たり外れが少なく、初回なら間違いありません。和食は「胃にやさしい」のも長所で、中高年が多い社長・役員クラスにも好評です。私も、クライアントから「会食が13日連続だったから、和食で助かったよ」と、お褒めいただいたことがあります。 店を予約する前に、食物アレルギーの有無や嫌いな食材をゲストに確認するのは必須。とはいえ、ホルモンやパクチーといった「隠れ苦手系食材」は見落とす可能性もあるため、初回の会食では避けたほうが無難です。