子どもの宿題、親はどこまで面倒をみるべき? 北陽・虻川美穂子のジレンマ
1児の母である北陽・虻川美穂子さんには、現在8歳の息子さんがおり、最近の子育ての悩みは“宿題”だという。「子どもが学校で叱られるのが心配で、仕事で遅くなったときでも、息子になんとか宿題をさせている」と語る虻川さん。一方で、厳しい態度をとってしまうことへの反省もあるそうだ。冬休みの宿題に取り組んだばかりの親子も多い今、虻川さんが母として抱えているジレンマについて聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
40歳での出産・育児は、大挫折からのスタートだった
――虻川さんは今から8年前、40歳のときに出産されたんですよね。一般的には高齢出産と言われる年齢で、子育てをスタートしたときはどうでしたか。 虻川美穂子: 「産んだら大変だよ」とは聞いていたものの、「まぁ自分なら大丈夫だろう」っていう過信がありました。でも、まんまとやられましたね。 40歳までは部活もお笑いも、気合いと根性で乗り越えてきちゃったんですよ。でも、子どものことって、厳密に言えば自分自身のことではないですよね。自分の外側で起きる出来事にどう対処したらいいかわからなくて、しょっぱなからてんてこまいでした。 育児の本やSNSを見たら、「栄養バランスのとれた食事をつくりましょう」と書かれていたり、育児中なのにすごく片付いた部屋の写真がアップされていたりして、やっぱり人のことはよく見えるんですよね。それらがすべて大正解のように思えて、「じゃあ、お前はどうなんだ」と自分で自分を追い詰めてしまっていた気がしますね。 今でこそ、人と比べてしまっていたなと冷静に振り返れるんですが、当時はそんな自覚もないほどに余裕がなくて。子どもはお腹が空けば泣くから寝不足だし、髪の毛もボサボサで、顔色も悪いし、とにかくイライラするし……。人からアドバイスをもらっても、「あなたにわかるはずがない」と思っていました。人に相談するのも恥ずかしいと思っていたところもありましたしね。大人になってからの大挫折というか、そういう状態からのスタートでした。 ――一人で子育てする時間が長かったのでしょうか。 虻川美穂子: 長かったですね。当時は仕事と子育てしかしていなかったですし、仕事以外ではできるだけ人にも会いたくなかったので、本当に閉鎖的な感じでした。40歳で子どもを産んだこともあって、最初で最後の子育てに没頭したいと思っている自分もいたのかもしれません。 夫は何か不満を漏らすこともなく、本当に「なんでもいいよ」と言ってくれていたんですけど、当時は視野が狭くなっていて、いくら夫が助言してくれても受け入れられなかったですね。もしかしたら育児うつだったのかもしれませんが、まるで人が変わったような経験でした。 ――人を頼ってはいけないという感覚もありましたか。 虻川美穂子: 40歳までは、人に頼ることや甘えることをほとんどしてこなかったんですよ。 お笑いをやっている中で「もっとこういう風に変えたほうがいいんじゃないか」といった意見をもらうことも多かったんですが、それをすべて聞き入れてしまったら、自分を見失ってしまうんじゃないかと思っていたんですよね。「他人の意見を聞かずにやっていくんだ」という意気込みが強すぎたのかもしれません。 だから、これまでお仕事に一生懸命打ち込んできた方こそ、出産したら「自分の信じていたことはなんだったんだろう」とパニックになることもあるんじゃないかなと思います。私の場合は結果的には良い方向に転がったと思っているんですが、当時はすごくつらかったですね。 ――子育て中の気持ちが少しでも楽になってきたのは、いつ頃ですか? 虻川美穂子: 子どもが4~5歳になった頃ですね。運動会を見に行ったときに、成長を目の当たりにしたんですよ。家だとまだできないことが多い印象だったんですが、ダンスを踊ったり、アクロバティックな運動をしたりと、自分の手の届かないところで頑張っていて、「なんだ、できてるじゃ~ん!」と驚きました。子どもをもっと信用してあげようって思えたら、気が楽になりましたね。