ママ友は同じ「扶養内」で働いていますが、10月から「社会保険」に加入するそうです。お互い“年収”は同じはずなのに、なぜなのでしょうか?
厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」より抜粋 社会保険料は「労使折半」の負担となりますので、企業側にとっても負担増となる制度改正が8年前から進められてきていると言えます。 公的には「社会保険加入者を増やすことによって、より社会保障制度の充実をはかる」といった説明がされていますが、筆者には「少子高齢化の進行にともなった社会保険制度の不安定化を少しでも抑えていくため」の制度改正である面が色濃いように思えます。
パート社員が社会保険に加入するメリットは?
現在は「扶養内」で働いていて、今回の制度改正のため新たに社会保険へ加入する人は、家族の扶養から外れるために給与手取り額が減少することが予想されます。しかし一方で、厚生年金に加入できて将来の年金額が増えることなどのメリットもあります。 厚生労働省のサイトによれば、国民年金・国民健康保険加入者に比べ、厚生年金加入者には以下のようなメリットがあるとされています。 ・老齢年金の充実 →年金の1階部分(基礎年金部分)に加えて2階部分(報酬比例部分)が上乗せされる。 ・障害年金の充実 →障害等級1・2級の場合、障害基礎年金に加え、障害厚生年金の上乗せがある。また、3級やそれより軽い一定の障害の場合でも障害厚生年金または障害手当金(一時金)の支給を受けられる。 ・遺族年金の充実 →遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金が受け取れる。 ・健康保険の充実 →病休・産休の期間中、給与の3分の2相当が支給される。 今回の制度改正のため、あらたに社会保険加入を求められる従業員には、企業側から説明会や個人面談を行うことが厚生労働省から推奨されています。その中で、働き方をパートから正社員へ変更することや労働時間の延長を打診されることもあるかもしれません。 従業員側としては、社会保険制度の仕組みや今回の制度改正によるメリット・デメリットについて十分に調べたうえで企業側との相談に臨み、今後の働き方を考えていくべきでしょう。