ピルは「月経困難症」や「子宮内膜症」などの治療にも有効 避妊だけが効果じゃない
ピルはどこで買えるの?
編集部: ピルを飲むことで、その後の妊娠に影響はないのですか? 沼崎先生: 医師の指示通りに服用していただき、妊娠を考えた時にきちんと服用をストップすれば、その後の妊娠に悪影響を及ぼすことはありません。 編集部: ピルはどこで買えますか? 沼崎先生: ドラッグストアやインターネットなどで購入している方もいるようですが、必ず医師の処方のもとで購入することをお勧めします。 理由としてはいくつかありますが、まずはインターネットなどで販売されているピルの一部には、成分やその含有量が不明瞭なものがあると考えられること、次にそもそもピルを投与してはいけないケースや慎重に投与しなければならないケースなどがあり、医師の診察を受けずに服用することにはリスクが伴うこと、そして、先述の副作用などで、もし何かあった場合に対応が遅れる可能性があるからです。 面倒に感じる人もいるかもしれませんが、こうした理由から医師の診察を受け、適切な処方のもとに購入することを強くお勧めしています。 編集部: 医師からピルを処方してもらうにはどうしたら良いですか? 沼崎先生: まず、婦人科や産婦人科の医師に相談する必要があります。初診では、問診や健康状態の確認が行われ、ピルの適応があるかどうかを判断します。 編集部: どのような診察が行われますか? 沼崎先生: ピルの初回処方時の問診チェックシートに記載していただきます。内容は月経の状況や妊娠・授乳の有無、喫煙や片頭痛の有無、合併症などについて確認します。その後、超音波検査や診察、子宮がん検診、半年から1年に一度の採血検査などが行われます。
ピル処方における注意点は?
編集部: ピルを処方してもらう際、注意点などはありますか? 沼崎先生: 喫煙している方は、血栓のリスクが上昇するので注意が必要です。また「35歳以上で、1日15本以上の喫煙者」の方には処方できません。 また50歳以上の方、前兆(視界にギザギザした光が現れるなど/眼窩閃輝暗点)を伴う頭痛のある方、授乳をしている方、手術を控えている方、重症の糖尿病、高血圧、心疾患、肝機能障害の方には投与できません。 編集部: 制限は多いのですね。 沼崎先生: はい。また禁忌以外の喫煙されている方や片頭痛のある方、乳がんの既往、てんかん、潰瘍性大腸炎、クローン病、軽症の糖尿病・高血圧、肝機能障害などのある方、治療を必要とするような子宮筋腫のある方は、投与可能ですが注意が必要です。 こういった条件があるため、喫煙習慣や常用している薬、持病などについては、きちんと申告するようにしましょう。 編集部: ほかに注意した方がいいことはありますか? 沼崎先生: たとえば月経前症候群などで相談に来られた場合でも、必ずしもピルが処方されるとは限りません。医師と患者さんが相談しながら、漢方薬などで対応する場合もありますので、ピルにこだわりすぎないような意識が必要です。 ホルモンの働きを抑える薬なので、繰り返しになりますがネットの個人輸入などではなく、専門医に処方してもらうようにしてほしいです。処方する段階で、副作用などの説明もあると思いますので、きちんとそれを聞いて、同意の上で服用しましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 沼崎先生: 低用量ピルは、優れた避妊方法のひとつであり、安全性も高いと考えられています。また月経困難症、過多月経、PMSなどの治療薬としても有用です。しかし、副作用もありますので、病院で医師と相談しながら適切に内服管理することが大切だと思います。