なぜジムに鏡を置く必要があるのか?正しいフォームを身につける極意
エクササイズに鏡が不要なケースは?
複数の部位を同時に動かす必要があるコンパウンド種目(多関節運動)のリフティングの場合は、感覚で正しい動きをつかめるようにならなければ上達はおぼつかないものです。 かなりのウェイトリフティングの経験を持つ人が、デッドリフトを行なう際に視線を向ける先を注意深く観察してみましょう。 まずバーベルに近づき、足のポジションを決めるために目線を足元に向け、バーベルをしっかりと見てバーを握ります。 リフティングを行なう際には、真正面を見つめているはずです。近くに鏡はありません。そんな必要はないのです。 ただ、私が目にした無数のフォームチェック動画では、まだ自信がない初心者は、そばに鏡を置いてリフティングをする傾向がありました。 こうした人は、バーベルに近づき、足のポジションをセットする際に鏡を見ます。バーを見て手を置くと、全体の見た目を確かめるために振り返ってまた鏡を見ます。バーベルを持ち上げる時はまた真正面に向きますが、持ち上げると、すぐにまた鏡に視線を向けるのです。 こうしてひっきりなしに首を回しているので、リフティングの流れや集中力が削がれてしまいます。 動画を見ていると、こうした初心者が、実際の体の感覚よりも「きちんとしたフォームに見えているかどうか」を気にしているのが伝わってきます。 昨年までは、私も鏡張りのジムでトレーニングをしていたものです。スクワットをする時は、常に鏡に向かっていました。こうすることで、十分に低くかがみ込んでいるかを簡単に確かめられるからです。 でも、パワーリフティング大会に出場するための準備をする中で、目で見るチェックだけに頼っていてはダメなことに気づきました。 必要なだけ深くしゃがみ込んだことが「感覚でわかる」必要があるのです。 そこで、自分の腰だけを凝視するのをやめ、特に視点を定めずに正面を見ることにしました。 それからすぐに、適切なポジションになったことを体の感覚で把握できるようになりました。