睡眠不足は記憶力低下や肥満のリスクも!子どもの理想の睡眠時間は【医師監修】
寝つきがあまりよくなく「うちの子、睡眠時間が短くないかな?」と気になっているかたもいらっしゃるかもしれません。睡眠は大切だとわかっていても、忙しい毎日の中で、どうしても寝る時間が遅くなってしまうこともありますよね。 年齢ごとの理想の睡眠時間、よい睡眠習慣を付けるコツについて、東京医科大学教授で小児科がご専門の山中岳先生監修のもと解説します。「睡眠の重要性はわかっているけど、実践するのが難しい」とお悩みのかたに役立つアドバイスにも注目です。
子どもにとって十分な睡眠をとる重要性とは
「寝る子は育つ」という言葉のとおり、睡眠は子どもの成長に欠かせません。十分な睡眠をとることで、次のような効果につながります。 ●「成長ホルモン」が睡眠中に分泌され、脳や心身の発達につながる ●情緒が安定する ●睡眠で体が十分休まることで、日中の活動量が増え、体の成長につながる ●集中力や意欲がUPする 睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は健やかな成長に欠かせないものです。免疫力を高め、筋肉を増やし、骨を形成する役割があります。睡眠時間が短いとそれだけ成長ホルモンの分泌も妨げられてしまうため、注意が必要です。
子どもの理想的な睡眠時間とは?
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」(2023年10月2日)は、子どもの理想的な睡眠時間を次のように示しています。(※1) ●1~2歳児:11~14時間 ●3~5歳児:10~13時間 ●小学生:9~12時間 ●中学・高校生:8~10時間 同検討会は、上記の睡眠時間を確保するために、次の4点を生活習慣における注意点として挙げています。 ●起床後から日中にかけて太陽の光をたくさん浴びる ●タブレットやスマートフォンを見る時間を減らし、体を動かす ●朝食をしっかりとる ●寝床ではデジタル機器の使用を控える
子どもの寝る時間が遅いとどのような影響がある?
寝る時間が遅くなると、睡眠不足につながります。睡眠不足だからと時間がある週末などに寝だめをしてしまうと、生活リズムがより崩れてしまうでしょう。このような状態は、体内時計を乱し、次のような影響があることが指摘されます。 ●記憶力の低下 脳は、寝ている間に「海馬」を活性化させて日中に経験したことを整理し、知識として蓄積します。そのため、寝る時間が遅く睡眠時間が不足することは、その機能を低下させ、記憶力を低下させることにつながります。 ●集中力の低下 遅寝による睡眠不足は、体や脳を十分に休ませることができません。そのため、疲れがとれずに集中力を保てなかったり、やる気が起きなかったりします。 ●免疫力の低下 睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は免疫力も高めます。睡眠不足に陥ると、免疫力も低下し、風邪をひきやすくなったり、病気にかかるリスクが高まったりしてしまうでしょう。 ●情緒が不安定になりやすくなる 睡眠不足は、情緒の安定を妨げます。イライラしやすくなる、感情をコントロールしづらくなるといった影響があるでしょう。 ●肥満 寝る時間が遅く、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が少なくなり、夜間の脂肪分解がおさえられたり、代謝が落ちます。また、レプチンという食欲をおさえるホルモンが減少し、グレリンという食欲を増進するホルモンが増加します。これにより、肥満になりやすくなります。