今の「豊かな日本」があるのは『高齢者世代』の皆様のおかげ!…「いつまで生きるんだろう」介護の不安な気持ちを前向きに!
最期を迎えるための価値ある選択
親が長生きすればお金も手間もかかります。その負担が子どもに重くのしかかってくると、親の長生きを寿げなくなってしまいます。これは今の長寿社会日本の悲しい側面です。 けれど、迷ったり考えたり話し合ったりすることを通して、さらに言えばマイナスの感情を抱いてしまう自分自身と向き合うことも含めて、私たちは親から学ぶことができます。 生きること、老いること、病むこと、そして死ぬとはどういうことなのかという問題を自分の親を通して考え、自分のこととして現実的にとらえる。これは高齢社会の日本で、長生きの親をもつ子どもにしか体験できない学びです。 親に最期のときをどう迎えてもらうか。その選択は、苦しいこと、つらいこと、悩ましいことの連続かもしれません。病院や施設の職員など、第3者に判断を委ねたくなることもあるでしょう。でも、そこで逃げてしまうと、これからの人生にいつまでも後悔がついて回るかもしれません。 逆に自分の親の老いや死から逃げなかった人は、自分が老いてターミナルステージにさしかかったとき、親からの学びを糧にして、本当に穏やかな気持ちでそのときを迎えることができるのではないでしょうか。 親の生き方を子どもが決め、そこに関わってくれる人たちと一緒に、最期を迎えるまで見届けられることは、人間としてどれだけ豊かで価値のあることでしょう。 いずれ迎える親の最期の問題に直面する皆さんには、そのことを噛みしめながら乗り越えていってほしいと思います。
髙口 光子(理学療法士・介護支援専門員・介護福祉士・現:介護アドバイザー/「元気がでる介護研究所」代表)