サイゼリヤのホワイトソース「さらさら」の秘密 豪の工場立ち上げに携わった元社長が明かす
日本では、値段の高いバターの代わりにマーガリンをよく使います。マーガリンは植物性油脂だから、融点が低い。常温でも溶け出してしまうので、ベタッと舌に残るのです。固まらないからです。 さらに、小麦粉がたくさん入っている。その結果、ボテッとした重たいソースになるのです。 ホワイトソースのキレの違いは、食べたあとに実感できます。べっとりとしたペシャメルソースをたくさん食べると、すぐに満腹になります。満腹というのは、言い換えると、胸焼けしている状態です。
一方、サイゼリヤのホワイトソースは胸焼けしません。使っているバターが良質で、酸化しにくいからです。胸焼けしないから、いくらでも食べられるというわけです。 満腹にさせずに、満足させること。腹いっぱいにならないから、「おいしかった」という満足感だけを持ち帰ってもらえる。サイゼリヤはそれを狙っています。 また、厨房特有の脂のにおいがほとんどないことも、食後の印象の「軽さ」につながっているはずです。 脂のにおいがしないのは、揚げ物を揚げるフライヤーと、調理用のグリドルがないからです。
これらの機器で使用される油は高温となり、滞留するので、酸化したものになりやすいのです。
堀埜 一成 :サイゼリヤ元社長