サイゼリヤのホワイトソース「さらさら」の秘密 豪の工場立ち上げに携わった元社長が明かす
■ホワイトソースが命運を握る オーストラリア工場のいちばんの目的は、ホワイトソースをつくることでした。 ミルクとバターが主原料なので、それを安く調達できるオーストラリアに工場をつくろうというところから始まった話でしたから、ホワイトソースの生産を軌道に乗せることは至上命令でした。 オーストラリアにはサイゼリヤの店舗はありません。しかも、組合が強くて労務費も高いという話も聞いていました。 にもかかわらず、あえてオーストラリア進出を決めたのは、仕入れコストの圧倒的な安さが魅力だったからです。
そして、いまもサイゼリヤのミラノ風ドリアが安さとクオリティの両面で他社を圧倒しているのは、オーストラリア工場でホワイトソースの生産が成功したからです。 何度コンビニに攻勢をかけられてもびくともしないのは、同じ品質のものを同じ価格帯で売るのは、事実上不可能だからです。 ならば、他社もオーストラリアに工場を出せばいいと思うかもしれませんが、先に書いた労務費などの問題があり、そう簡単ではありません。日本の大手企業もいくつも撤退しています。それほど海外からの進出難易度が高い国なのです。
だからこそ、オーストラリア工場は他社が簡単には真似できない、サイゼリヤの強みとなっています。 ■サイゼのホワイトソースが胸焼けしない理由 ここでサイゼリヤのホワイトソースの秘密を、ちょっとだけお話ししましょう。 バターと小麦粉を混ぜたルーにミルクを加えてつくる通常のペシャメルソースは、かなり粘度が高くて、べっとりしています。ところが、サイゼリヤのホワイトソースは、さらさらです。 これはかなりレベルの高い技術で、しかも、使用するバターの量が全然違う。バターを増やすとしつこくなると思われがちですが、そうではなく、キレがよくなります。バターは動物性の脂肪なので、融点が高い。それでキレ味がよくなるのです。