サイゼリヤのホワイトソース「さらさら」の秘密 豪の工場立ち上げに携わった元社長が明かす
それまでは、白飯にケチャップなどを混ぜていたのですが、白飯には炊いてから時間の経ったものや炊きたてのものなどさまざまな状態のライスが混在していました。それでは、品質を一定にするのは困難です。その問題も解消することができました。 ところが、また別の問題が発生します。バラ凍結の冷凍ライスは隙間が多くできるので、ホワイトソースはライスの上にかかってなければいけないのに、その隙間に入り込んで、そのまま加熱するとおじやのようになってしまうのです。
こうして次々と発生する問題を一つひとつクリアしていかなければいけませんでした。 ■広大な土地を有するオーストラリア工場立ち上げ 短期間で神奈川工場、福島工場を相次いで立ち上げ、次に向かった先はオーストラリアです。サイゼリヤ初の海外工場でした。 オーストラリア工場の敷地は1キロ四方もあって広大です。だだっ広い土地を格安の条件で入手することができました。実際に使っている面積は、全体の10分の1にも満たないと思います。
なぜ、そんなに広大な土地を手に入れたのか。これは前職の味の素で、ブラジルで工場を立ち上げた時に痛感したことなのですが、工場の敷地が広いと、便利なことがいろいろあるのです。 ひとつは拡張性が高いこと、そして、まわりとの緩衝地帯を持つことができること。さらにもうひとつの大きな理由が、敷地内で排水処理ができるということです。 味の素のブラジル工場では、薄めて基準を満たした廃液を全部自分の土地にまいて、ユーカリを育てていました。ユーカリは生長が速いので、まいた水を全部蒸散してくれます。
ほかにも果樹園でオレンジが山ほど採れたり、牧草地が広がってウシを放牧したりしていました。草もどんどん生長するので、ウシに食べてもらっていたわけです。 いくら基準を満たしているとはいえ、工場廃液を外に流すとお金がかかるし、万が一、基準値を超えたものが流れ出てしまえば、最悪の場合、工場停止のおそれがあります。 かといって、廃液をずっと溜めて持っておこうにも、敷地が狭いと、貯蔵タンクを建てるにも限界がある。だから、どうせ買うなら、できるだけ大きな土地にしようということで選んだのが、メルボルンから約40キロの距離にある土地だったのです。