高知県室戸市で日本初の海洋深層水サミットを開催!飲料や食品だけでなく、クリーンエネルギーにも活用
2024年10月17日から19日まで、高知県室戸市で「海洋深層水サミット2024室戸大会」が国内で初めて開催された。海洋深層水とは海面から200mより深いところにある海水のこと。太陽の光が届かないため低温で、ミネラルなどの栄養素が豊富かつ汚染物質が少ないのが特徴だ。これまでも飲料水や加工食品、化粧品などの開発が進められてきた。 パネルセッションでは、登壇者たちから魚介類の養殖への利用や、日常的に飲用すると腸内環境を整える効果が期待されるといった事例が報告された。特に話題を集めたのは、地球環境にやさしい持続可能な新エネルギー資源としての活用だ。低温の海洋深層水と太陽熱で温められた表層部の海水の温度差を活用してエネルギーを生み出す「海洋温度差発電」が実用化されている。 これは、低温で沸点に達するアンモニアなどの液体に温かい表層部の海水を送り蒸発させ、その蒸気でターピンが回って発電するという仕組みだ。タービンを回した蒸気は低温の海洋深層水によって冷やされ液体に戻る。ここで使用された海水は汚れていないので、再び海に戻すことができる。通常の電気を使用しないため、二酸化炭素やコストの削減につながり、さらに天候に左右されずに安定供給できるクリーンエネルギーとして、今後の供給拡大が期待されている。
海洋深層水を利用した露天風呂やプールも
今回、サミットが開催された室戸市は1989年に高知県海洋深層水研究所が設立され、国内初、世界で3番目の海洋深層水取水施設が造られた。この研究所がある室戸岬の東側は、海中に1000mを超える巨大な壁があるため、急激に深くなることから海洋深層水を取水しやすく、深層水を利用した施設や紹介する施設が集っている。 海洋深層水の取水施設でもある「室戸海洋深層水 アクア・ファーム」は、パネル展示や映像展示のほか、取水したばかりの海洋深層水に触れることもできる。ここでは、1日約4000立方mもの海洋深層水をくみ上げているという。 健康増進施設の「シレストむろと」には、深さ374mから取水した海洋深層水100%の露天風呂と水着着用のプール、屋外ジャグジーを備える。約40℃に加熱し、塩分が利いた露天風呂に入ると、体が芯まで温まり、肌がしっとりとなった。利用者の話からはリラックス効果も期待できるという。プールゾーンは歩行浴や水中ストレッチ、シャワーによるボディマッサージなどの水中運動を目的とし、利用者の健康の増進を図っている。 室戸市は国内で10か所しかない、ユネスコ世界ジオパークに認定されている。同ジオパークは、平均で1000年あたり約2mと世界有数の速さで大地が盛り上がり、また海水面の変動によって形成された海成段丘が大きな特徴の一つだ。「室戸世界ジオパークセンター」で、3D眼鏡をかけて西日本を中心とした地図を見ると、列島周辺の海洋プレートの位置と形が立体的にわかり、わが国でいかに地震が多いか、うかがい知ることができる。