北海道東川町「人生の学校」参加する男女の“目的” 学び直しの機会は社会全体としても重要になる
■日本型の人生の学校の可能性 本家デンマークのフォルケホイスコーレをはじめとする海外留学は、キャリアブレイク中の社会人が人生を見つめ直し学び直しをするのに最適だと考えています。 ただ今回、東川町を訪れてみて、短期間でも海外留学に近い効果があることがわかりました。普段の武装した自身の鎧を脱ぎ捨てて、一人の人間としてコミュニティの中で生活し学びを深めていくプロセスは、いまの日本の労働環境の中で違和感を抱えている人たちに次のステップに進むきっかけを与えてくれるものなのでしょう。
デロイト トーマツ グループが毎年実施しているZ・ミレニアル世代年次調査によると、日本のZ世代がハラスメント被害を受けた際に職場に通報した割合は78%、一方ミレニアル世代は44%に過ぎず、職場に不満があった際も特にミレニアム世代はじっと耐える傾向にあるようです。これはグローバルの80%の通報率と比較しても異常に低い数値です(Z・ミレニアル世代年次調査2023より)。 声を上げない29~40歳の会社員は特にストレスを抱えて社会生活を送っていると考えられます。普段在籍している組織から離れた場所で一定期間生活しながら自分を見つめ直したり、学び直したりする機会は個人だけでなく社会全体として今後より重要になると考えます。
大川 彰一 :留学ソムリエ 代表取締役