【図形問題】正方形の4辺に反時計回りに矢印を描きます。向かい合う辺を矢印の向きをそろえて貼り合わせるとできる図形は?
宇宙はどんな形をしているのか? その謎に迫るために取り入れられているのが「トポロジー:位相幾何学」と呼ばれる数学です。このトポロジーの中でも、超弦理論との関係から近年注目されている「結び目理論」や、宇宙空間を考えるうえで重要になる「高次元幾何学」を中心に、この不思議な世界を紹介する新刊『宇宙が見える数学』。この記事では、数学や物理学で重要な新しい図形を紹介します。でも、その前に。この図形問題を考えてみてください。 【図説】2次元平面からつくられる高次元の図形「2次元実射影空間RP2」はどんな形 *本記事は『宇宙が見える数学』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
この図形の操作はできますか?
数学・物理などで非常に重要な図形を、新たにひとつ紹介します。そこで図形の問題をひとつ考えてみましょう。 <図形問題> 正方形ABCDを用意します。まわりの辺だけでなく中身もあります。正方形の各辺に反時計回りに矢印を付けます(図1)。 辺ABと辺CDを、矢印の向きが合うように同一視します(決められた点や線分のみで貼り合わせます)。辺DAと辺BCを矢印の向きが合うように同一視します。(図2)。 これらの同一視をして新図形を自己接触しない(自分自身と接触していない)ように作ります。さて、どんな図形ができるでしょうか。 考えてみましょう。 辺ABと辺DCを矢印の向きが合うように、ぴったり貼り合わせることを考えます。これまでの記事を読んだ方は、すでにやり方を知っているはずです。これは、半捻り(180度捻り)して点Aと点Cが、点Bと点Dが重なり合います。 また、辺DAと辺BCの矢印の向きが合うように貼り合わせることを考えます。これも半捻りで点Bと点Dが、点Cと点Aが重なり合います。 この操作は同時にしても、どちらから行ってもかまいません。ただし、正方形の内部の点は辺にも内部にもさわらないようにします。できあがる図形は自己接触がないようにしてください。 さて、この工作は可能でしょうか? もし可能なら、どういうものができるでしょうか? 今回も、正方形ABCDを引き延ばしたり曲げたりしてもかまいません。