【箱根駅伝2025】ダークホースは創価、早稲田、城西…「シン・山の神」誕生が勝負のカギを握る!!
史上最もエキサイティングな大会に!?
連覇か、悲願の初優勝か、古豪の復活か――。’25年の『箱根駅伝』は、史上最もエキサイティングな大会になる可能性を秘めている。 【画像】箱根駅伝2025を大予想! 「シン・山の神」は?注目選手は…コチラ!(写真8枚) 今年10月、箱根駅伝の前哨戦とも称される『出雲駅伝』を制したのは、今年1月の箱根駅伝で総合優勝を果たした青山学院大学でも、名将・大八木弘明氏(66)が勇退し新体制の2年目を迎える駒澤大学でもなく、國學院大學だった。勢いそのままに、國學院は11月3日の『全日本大学駅伝』で初優勝。2連勝で悲願の箱根初制覇へ弾みをつけている。今、最もノっているチームを牽引するのは、エースの平林清澄(きよと)(4年)だ。今年の箱根駅伝で花の2区を駆け抜けた22歳は、2月25日に行われた第12回大阪マラソンで42.195㎞に初挑戦し、いきなり優勝。2時間6分18秒という驚異的なタイムは、初マラソンの日本記録を更新した。元箱根ランナーでスポーツライターの酒井政人氏が語る。 「平林の実力は凄まじいですが、國學院はけっして平林のワンマンチームではない。むしろ、箱根駅伝に出場する大学で最も選手層が厚いのです。前回大会で3区を走り、区間4位に輝いた青木瑠郁(るい)(20・3年)は、今年の日本学生ハーフマラソンで優勝するなど成長が著しい。野中恒亨(ひろみち)(19・2年)は出雲、全日本で区間賞に輝いていますし、山本歩夢(22・4年)は全日本で区間新記録を更新した。タレント揃いなんです。2区の平林でアドバンテージを取り、好選手が置ける6~8区で首位に立つ。これが理想のシナリオでしょう。 國學院は箱根の優勝経験がないため、『出雲、全日本の連覇はまぐれだ』という論調もありますが、それは事実ではありません。’21年の春に平林と山本という2枚看板が入学してから、前田康弘監督(46)は’25年の箱根駅伝に照準を合わせ、チームを育ててきた。それが今、まさに実を結ぼうとしているのです」 ただ、國學院には大きな弱点がある。「山の神」の不在だ。かつて東洋の柏原竜二(35)、青山学院の神野大地(31)ら数々のスター選手を輩出してきた往路・山上りの5区で、前回大会区間17位に終わっている國學院がどこまで粘れるか。 ◆各大学の″山の神″候補 一方、’23年に勇退した名将・大八木弘明氏の後を引き継ぎ、藤田敦史氏(48)が監督に就任した駒澤大学には、新世代の山の神に名乗りを上げる3年生がいる。山川拓馬(21)だ。 「山川は1年生の時に5区を任されましたが、2年時はケガの影響で4区に回った。『万全だったら5区でもう一回勝負したい』と本人が語っていたように、山上りへの思い入れの強い選手です。 駒澤には他にも、前回大会で1区の区間賞を獲ったエース・篠原倖太郎(22・4年)、1万mのU20日本歴代2位の記録を持つ佐藤圭汰(20・2年)などがおり、戦力は國學院に引けを取りません」(同前) 駒澤の懸念点は、戦力の不安定さ。全員が本調子で臨めば優勝に手が届く陣容を整えながらも、佐藤が出雲と全日本をケガで欠場するなど、不確定要素が多いのが現状だ。元早稲田大学競争部駅伝監督の渡辺康幸氏が話す。 「駒澤の勝負は花の2区になるでしょう。おそらく篠原が走ることになると思いますが、そこで区間賞の快走ができれば、ケガ明けの佐藤や、山川など後続選手に勢いをつけることができる。序盤でライバルに主導権を握らせなければ、優勝も見えてくる」 花の2区、そして山の5区。総合戦力で國學院、駒澤にやや劣るものの、分水嶺となるこの区間にすべてを懸け、ダークホースとして頂を目指すのが、創価大学と城西大学だ。駅伝・マラソン解説者の金哲彦氏は、創価の5区を担う4年生・吉田響(22)を注目選手に挙げる。 「3年生の春に東海大学から創価大学に編入した異色の経歴の持ち主。吉田は前回も5区を走り、区間9位と残念な結果に終わりましたが、今回は雪辱に燃えており、走りも進化している。彼の特徴は、ピッチ走法(歩幅を狭くして足の回転を速める)の力強さです。前方にいるライバルをごぼう抜きするかもしれません」 創価は2区を、ケニアからの留学生で平地での走りを得意とするスティーブン・ムチーニ(19・2年)に託すことで、2区と5区で勝負をかける。 城西大学も、2区留学生、5区エースという作戦を採用することが濃厚だ。 「『山の妖精』と呼ばれた城西大の山本唯翔(23)の後を継ぎ、斎藤将也(21・3年)が5区を走ることになるでしょう。斎藤は前回大会で花の2区を走りましたが、本来は5区向きの選手。山上りのスピードは山本を凌駕しているとさえ言われています。城西は当然、なるべく上位で斎藤にタスキを繋ぎたい。そこで、ケニアの留学生ヴィクター・キムタイ(24・3年)に2区を任せるはずです。キムタイは非常に調子がよく、全日本大学駅伝では区間賞に輝きました。創価、城西は、往路で優勝する可能性を秘めています」(前出・渡辺氏) 前回大会で2年生ながら花の2区を走った山口智規(21・3年)を擁する早稲田大学も戦力のバランスが整っており、無視できない存在だ。 ◆箱根で勝つための練習 國學院、駒澤、創価、城西、そして早稲田――。優勝候補の強豪は、一様に前回大会で総合優勝を果たした青山学院大学の打倒を掲げ、この1年間を過ごしてきた。そんななか、追われる王者は苦境に陥っている。今年の出雲駅伝、全日本大学駅伝で國學院、駒澤に次ぐ3位に終わったのだ。連覇は絶望か。駅伝ファンの中には、そう囁(ささや)く者もいる。しかし、前出の酒井氏は、青学を優勝候補筆頭に挙げる。 「前回2区で区間賞の黒田朝日(20・3年)、3区で区間賞の太田蒼生(あおい)(22・4年)、5区で区間2位の若林宏樹(22・4年)、そして今年の出雲、全日本駅伝で立て続けに区間賞を獲得した鶴川正也(22・4年)などトップクラスの選手が数多くいる。加えて、青学は山に強いんです。平地を走る出雲、全日本では國學院や駒澤に分がありましたが、山上り、山下りという特殊な状況において、青学の右に出るチームはありません」 青学を7回の箱根駅伝優勝に導いた原晋監督(57)は、箱根の勝ち方を誰よりも知っている。 「箱根は出雲、全日本と異なり、全区間が20・以上の駅伝。駒澤などは中長距離のトラック競技にも力を入れていますが、青学は1年を通して、箱根制覇に向けた、長距離走の練習を中心に続けています。原監督は出雲、全日本で選手のコンディションを見極め、連覇に向けた陣容を固めているのでしょう」(前出・渡辺氏) 國學院、駒澤、そして青学の三つ巴の争いに、エース&留学生作戦を採用して創価、城西が割って入る――。来年の正月、日本中が大熱戦の目撃者となる。 『FRIDAY』2024年12月27日号より
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