【インタビュー】女子サッカー界のレジェンド、川澄奈穂美選手が語る「私が闘い続ける理由」
2008年に女子サッカープロ選手としてのキャリアがスタートし、現在はアルビレックス新潟レディースで活躍する川澄奈穂美選手。日の丸を背負ってメダルを獲得した時のことなど、日本の女子サッカーの進化とともにキャリアを積む一方で、今年からJFA理事に就任。 【写真】伝説のロンドン五輪ほか、川澄選手の歩みを振り返り ――選手キャリアが長くなることで、責任も増えているのでは? 川澄:女子サッカー大国、アメリカで長くプレーしてきたので、そこで吸収したことを日本に還元したいという思いがすごく強いです。自分だからこそできる役割というのは大切にして活動したいですね。 海外移籍した際、アメリカには女子サッカーがカルチャーとして根づいていて、プロとしてのあり方を強く意識させられました。
――プロとしての自覚とは何でしょうか? 川澄:闘うことです。何のために闘っているのかというと、もちろん試合に勝ちたいという、根源的な部分は絶対に持っていて。キャリアがスタートしたころは、とにかく自分がうまくなりたい、試合に出たい、代表入りしたい、それしか考えてなかったですけれど、女子サッカーのためにという思いで闘っている先輩方がすごく多かったこともあって。 私自身たくさんの経験をさせてもらい、いろんな方に支えてもらって、これだけのキャリアを積み重ねたのであれば、自分以外の誰かのためにプレーするっていうこともひとつの役割になってくると、最近特に強く感じてます。 自分たちの権利に対しての闘いも、アメリカでの選手経験を通じて学んだことです。例えば、アメリカ女子代表はワールドカップで何回も優勝を果たしていますが、男子と女子の報酬格差をなくすために声を上げて、イコールペイを勝ち取りました。 結局、自分たちがサッカーで見せ続けて、サッカーで結果を出し続けて手に入れた権利です。本当にすごいことですし、ほかの国も男子と女子の条件面や環境、待遇を一緒にしていこうという声があがりやすくなりました。実際に協会を動かす原動力になって、2027年FIFA女子ワールドカップでは賞金が男女同等になるんです。 そういった意味でも、女子サッカーが社会にインパクトを与えるスポーツになっているし、自分たちの頑張りが必要なんだと思います。アメリカにいたからこそ、ジェンダーギャップ指数が低い日本の現実をリアリティをもって感じることがあります。もっともっと女性は活躍していいし、認めてもらっていいし、価値のある存在なんだよっていうことを、サッカーを通じて伝えていきたいですね。