【インタビュー】女子サッカー界のレジェンド、川澄奈穂美選手が語る「私が闘い続ける理由」
伝説のロンドンオリンピック、当時のメンバーは「奇跡のような人たち」
――日本女子サッカー史上初のメダル獲得となったロンドンオリンピック。当時のことは今も語り継がれていますね。 当時のメンバーとは今もよく会うんです。 仲がいいんですよ、もう本当に(笑)。会うといつもタイムリープ。同じ話を延々として、同じところで毎回爆笑するっていう繰り返し(笑)。それぐらいほんとにいい時間を過ごしてました。 今思うと、 苦しいこともたくさんあったと思うんですよ。そんな甘い闘いじゃないし、 押しつぶされるようなプレッシャーもあったし。でも一緒にいると、それを全部解消できるというか、絶対大丈夫だっていう、むしろ自信に変えてくれる心強い仲間です。 どんなにいい選手がいても、時代が違ったら一緒に代表メンバーとして闘えなかったでしょうし、 奇跡のような人たちが、奇跡みたいなタイミングで出会えて、 本当にいいチームでサッカーができたなって思います。
──チームスポーツで勝つヒントがありそうですね 日の丸を背負って日本を代表して闘う。そこには、苦しいことがいっぱいあるんですけれど、このメンバーだから大丈夫って思えるだけのことを積み重ねる必要があって。上手な選手を集めればいいという、単純な話ではありません。選抜選手が1週間、2週間と合宿をやって、うまくいきましたっていう話ではなくて、 長い年月をかけてメンバーで顔を合わせて、いい思いもして、つらい思いもして、苦しい思いもして、結果が出ない時もあって、それでもなんとかもがいて、どうしたらいいんだろう、どうやったら強くなれるんだろうっていうことを、繰り返し繰り返しやっていく。 どんなに周りから言われても、自分たちだけは自分たちのことを信じ続けるっていうことができる集団だったなって思いますし、そういった仲間がいることで大きな力を生み出すことができると思いました。 当時の代表選手たちとはそういう関係を築いてきましたが、“なでしこ魂”みたいなものはその前からずっと受け継がれてきました。メンバーが変わってもそういった思いを引き継いでいるからこそ、回数を重ねるごとに理解して、だんだん表現できるようになってきて、気づくと当たり前のように染みついているといったように、段階を踏みながら1歩1歩成長していって、次の世代にしっかりとつないでいく。これからもずっとずっと続いていくものだろうなって思います。
Nobuko Hakata