憲法の“両性”は同性カップル含む?ゲイ公表の弁護士が「画期的」と評す東京高裁「違憲判決」【同性婚】
日テレNEWS NNN
10月30日、東京高裁は同性婚を認めないのは“憲法違反”という判決を示しました。この判決についてゲイを公表し、パートナーと“夫夫”で事務所を営む南和行弁護士は「画期的だし、論理的な明快さもある」と分析。判決のポイントを詳しくききます。 *podcastできく*【同性婚訴訟】違憲判決を南弁護士が解説「画期的だし、論理的な明快さもある」│TalkGender
■「一生隠していかなきゃいけないと思っていた」自分の力で自分たちを守るため弁護士に
報道局ジェンダー班 庭野めぐみ解説委員: 南さんはこれまで性的マイノリティーの権利に関する裁判をいくつも担当されてきたんですよね? 南和行弁護士: 一橋大学の法科大学院の学生さんが同性愛を暴露されて、その結果、命を落とすことになったという事件の裁判をしたこともあります。僕自身が同性愛者で、パートナー(吉田昌史さん)も弁護士で、大阪でカップルで事務所をしているので、LGBTの案件は多いです。 (同性婚を可能とする法律がなくても)同性愛者の人でパートナーがいて、事実上、結婚生活を送っているという人はいます。僕もそうです。彼と学生時代に知り合い、大学院を出て会社員になったのですが、彼と2人で弁護士になりたいと思って、「2人で司法試験を受けて弁護士になろうよ」と言って弁護士の勉強を始めました。
南:その時は将来自分が「同性カップルです」とカミングアウトして生活するとは全然思っていなかった。むしろ一生隠していかないといけないと思っていました。感覚的に、“同性愛者であることなんて人に言ってはいけない”とか、“「一緒に住んでいる人は男同士で、友達でも兄弟でもなく伴侶なんです」と言ったら何を言われるか分からない”と思っていました。 だからこそ2人で自営業で、なおかつ専門職の弁護士になったら、自分たちのことを法律が守ってくれなくても、自分の力で自分を守れるかな?みたいな考えで、弁護士になったんです。その後、自分たちが一緒に暮らしている中で、(2人の関係性を)知っている人と知らない人で、対応が違うのも変な感じなんですよ。 庭野:この人には言っていい、この人には言っちゃだめ、といったことですよね。 南:そうなんです。共通の知り合いでお世話になった弁護士さんに年賀状を出すんですけど、「この人たちは知っているから連名で」「この先生には言っていないから実家の住所で」ということになってくると、何か変というか。 庭野:自分をごまかしている感じになりますよね。 南:それで彼が2011年に「結婚式挙げよう」と言って、家族や昔からの地元の友だちなんかも呼んで人前式で挙げたんです。そこから日常生活で隠さない暮らしになり、2年後の2013年に僕と彼は2人で弁護士事務所を立ち上げ、そこから私生活も仕事も24時間365日晴れて一緒にいられるようになりました。 隠さなくなった時に思ったのは、僕たちみたいに弁護士に2人ともなれて、周りの人や家族との人間関係もうまくいっているという様々な偶然が重なったら、社会で安定して立場を築けるけれども、なかなかおいそれと「私たちは家族です」と言える感じではないんだなと。 庭野:みんながこれをできているわけではない、と。 南:僕は今回の全国各地である同性婚の裁判の弁護団には参加していませんし、原告でもないですが、原告の方と弁護団の方が、単に気持ちとして「幸せになりたい」とか、軽い話じゃなくて、権利が保障されていない、国から守られていないということがすごく切実なことなんだということ。 そこを今回の東京高裁もですし、3月の札幌高裁なんかも、裁判所にきっちり原告の方と弁護団の方が伝えたのかなと思います。