英国総選挙 自動車関連の争点は「エンジン車禁止の時期」「EV支援」か 各党の公約は?
自由民主党(Liberal Democrats)
自由民主党は、交通部門全般の脱炭素化に重点を置いている。 ■EV補助金の復活 自由民主党のエド・デイビー党首は、2022年に廃止されたEV補助金を復活させると述べた。これは他の政党の公約にはないものだ。 同党は、「ドライバーがより安く、より簡単にEVに乗り換えられるように」したいと考えている。 ■充電をより安く、より簡単に これに加えて自由民主党は、各地域の送電網の能力を高めることで、充電ポイントの普及スピードと数を「急速」に増加させると約束している。 また、公共充電にかかる付加価値税を20%から5%に引き下げ、一般家庭での充電と同じ税率にする。また、すべての充電ポイントの支払いをクレジットカードに対応させる。現在はアプリ経由でしかアクセスできないものもある。 ■2030年のエンジン車禁止を復活させ、高い燃料代を低減する 労働党と同様、2030年のエンジン車の新車販売禁止令を復活させる。 その一方で、「不公平」な保険料や高いガソリン価格から自動車保有者を守ると約束している。詳しい内容については説明していない。 ■道路の補修 デイビー党首は、英国の道路は「ひどい状態で、至る所に穴が開いている」と話す。 これに対処するため、道路予算の多くを地方議会に与え、地方議会が道路を維持できるようにする。また、道路工事に関する煩雑な手続きも削減するという。
緑の党(Green Party)
当然のことながら、緑の党の主要な焦点は気候に優しいグリーン政策である。 そのため、緑の党は化石燃料の段階的廃止をマニフェストの柱に据えている。英国におけるすべての新規化石燃料採掘プロジェクトの停止、すべての石油・ガス補助金の廃止、すべての化石燃料の輸入および国内採掘に対する炭素税の導入を掲げる。 自動車産業を直接ターゲットにしているわけではないが、ガソリンと軽油の価格に影響を与えるだろう。 緑の党はまた、住宅地や町、都市部の交通量削減を支援する政策も目標とする。ロンドン、ブリストル、ポーツマスに続き、全国に「ULEZ」を設けるだろう。ULEZとは超低排出ガスゾーンのことで、特定エリア内におけるエンジン車の通行を制限し、都市環境の改善を図るものだ。ロンドンなどでは現在、排出ガス基準を超える車両に対して通行料金を課している。
リフォームUK(Reform UK)
リフォームUKは緑の党とは対照的なアプローチをとっている。ULEZとLTN(都市部や住宅地の交通量を減らす制度)の全面廃止など、「自動車運転者との戦争を止める」ことを約束している。 また、2030/2035年のエンジン車販売禁止や、メーカーに一定割合のEV販売を義務付けるZEV義務化も廃止する。
ウィル・リメル(執筆) 林汰久也(翻訳)