燃え尽き症候群を防ぐ仕事術「スローな生産性」を取り入れるポイント3つ
生産性を高めるテクニックや方法に関する私の投稿(英文記事)は読者に共感されることが多いので、筆者としては、皆さんにとって本当に役立つことを提供できているとうれしく感じています。 ただし、少し悲しいところもあります。なぜならこのことは、いかに私たちが「もっとたくさんのこと」を成し遂げようと必死になっているかを映し出しているからです。 私も、この競争社会のなかで生きる一員です。けれども、誰もが常にストレスを抱えている状況を、ただ黙って見ているのはやはりつらいものです。
燃え尽き症候群になる前に
しばらく前から、「バーンアウト(燃え尽き症候群)」という言葉が文化的な流行語になっていますが、こうした概念はもっと前からあります。がんばりすぎたり、忙しく働きすぎたりするのは、持続可能ではありません。 一日の中で、複数のタスクに優先順位付けする方法を教えてくれる生産性向上テクニックは、短期的には役立ちますが、誰にとっても永遠に続けられるわけではありません。 私もみなさんと同じくらい、構造化されたToDoリストや、すべてがうまくいく日が大好きですが、仕事や学校、個人の健康、家族、そして友人からの要求が絶え間なくある世界では、どんなに綿密な「タイム・ボクシング」によるスケジュール(英文記事)を組んだところで、すべてをうまく終わらせることがいつでも可能というわけではありません。 燃え尽き症候群の兆候を感じているなら、あるいは、そうなる前にルーティンを変えたいと思っているなら、生産性の専門家であるカル・ニューポート氏が提唱する「スローな生産性」という概念を検討してみてください。
「スローな生産性」とは?
まず第一に、「スローな生産性」という言葉は、ニューポート氏による最新著書のタイトルに使われているものです。つまり、『Slow Productivity: The Lost Art of Accomplishment Without Burnout(スローな生産性:燃え尽きることなく成果を上げる、失われた技術)』という著書です。 ニューポート氏は、「ディープ・ワーク」、つまり「気を散らすことなく、1つのタスクに完全に集中する」という概念を提唱した人物です。 彼はこの新しいフレームワークで、「より少ないこと」を集中してこなし、自然なペースで働き、仕事の質に「こだわる」ことを提唱しています。 これは、ほとんどの人が日常的に過ごすあり方、つまり、さまざまなマルチタスクを急いで行ない、仕上がりの質にばらつきが生じるようなあり方とは対照的です。 ニューポート氏が前提にしている状況があります。それは、かつての仕事は多くが手作業でしたが、製造業が「知識労働」へと移行するにつれて、私たちは、「忙しいこと」と「生産的であること」を混同しはじめたというものです。 今や、典型的な従業員は、電子メールやSlackのメッセージを整理することに日々を費やしています。必ずしも、何かを生み出したり、労働の成果を示す何かとともに1日を終えるわけではありません。 ZoomやSlackでのやりとりに一日中費やしていては、実際に働いたり、考えたり、書いたりはもちろん、ディープ・ワークでもっとほかのことをする時間はほとんど残りません。