なぜ東日本新人王決勝で衝撃の10秒TKO劇が生まれたのか…元プロの父がトレーナーを務めるフェザー級の渡邊海がMVP受賞
プロボクシングの東日本新人王決勝戦が19日、後楽園ホールで12階級にわたって行われ9階級がKO決着となる大会となったが、フェザー級では、渡邊海(19、ライオンズ)が1ラウンド、わずか10秒で、打ち下ろしの右ストレートで吉田諒(30、ワールドスポーツ)をロープ外に吹っ飛ばすほどの勢いで倒す衝撃的なTKOで勝利して大会MVPを獲得した。また敢闘賞には1ラウンド1分44秒に左フック一発でKOしたスーパーライト級の関根幸太朗(24、ワタナベ)。技能賞には、卓越した技術を披露して3ラウンドにTKO勝利した高校生プロの坂間叶夢(18、ワールドスポーツ)が選ばれた。東軍代表と西軍代表が激突する全日本新人王決定戦は来年2月6日に後楽園ホールで行われる。
研究して狙っていた右のカウンター
一瞬でケリがついた。 ゴングと同時に、吉田が頭を下げて左のパンチを放ちながら突っ込んでくると、そこに打ち下ろしの右を合わせた。 「左を振りながら飛んでくるとわかった。そこに右を合わせたら倒れてビックリした。かすった感じで手応えはなかった」 吉田はロープの間から頭が飛び出すほどのダメージを受けた。 「実力のある強い相手。立たないでくれ!」 渡邊は、そう祈っていたというが、レフェリーは、吉田の様子を見て間髪を入れずTKOを宣言した。 ここまで5戦無敗だがKO勝利は、東日本新人王予選初戦のひとつだけ。バッタ、バッタとなぎ倒すハードパンチャーというわけではなかったが、事前に映像で吉田のパターンを研究し、飛び込んでくる際に頭を下げることを計算して「右を合わせる練習をしていた」という。 「いつも以上に練習していた。走ったし、強い相手とのスパーも重ねて自分に自信があった。心の中で“今日は倒せるんじゃないか”と思っていた。でも、力みすぎないようにと。ドンピシャで入って、あっというまに倒れていました」 決勝戦に向けて昨年の新人王フェザー級西軍代表の福永輝(沖縄ワールドリング)や、この日、ひとつ階級上のライト級の決勝戦に出場した池上いつ己(八王子中屋)らとのスパーリングを重ねて自信をつかんだという。