悪気はないのに、なぜか相手が不機嫌...関係を維持する「気軽な謝罪術」
相手の言葉が途切れる瞬間を待つ
相手にすかさず伝えることが大切といっても、「ごめんなさい」をはさむタイミングが難しい場合もあると思います。相手が黙っていたら、そのまま「ごめんなさい」を伝えればOKですが、相手が話しつづけている、というより怒ってまくしたてているパターンもあるでしょう。 「今のなに!?」「どういう意味!?」「よくそんなこと言えるよね!」「なんでいつもそうなのかな。だいたいあなたは......」といった感じです。 そんなときは「会話のすきま」を探してみましょう。相手の言葉が途切れる瞬間、文章のおわりの句点「。」を待ってみてください。どんなにまくしたてていても、文章のおわりでは一瞬、言葉が途切れます。その一瞬の「。」をめがけて、「ごめんなさい」をポンと投げこむイメージです。 「。」を探す目的は、相手の言葉をさえぎらないことにあります。相手がしゃべっているところにかぶせるようにして「あ~ごめん、ごめん! もうしないから」なんて言ってしまうと確実に失敗します。 それでは「小さなごめんなさい」ではなく「うるさいな~。もう黙ってよ」とほぼ同じ意味になってしまい、相手をますます不快にさせてしまうのです。たとえ、最初の「。」で「ごめんなさい」を伝えられなくても大丈夫です。「ごめんなさい」のチャンスは、何度もやってきます。 最初の「。」を逃したら、次の「。」を待ってみる。それも逃したら、また次の「。」を待つ。あせらずに、相手の言葉が途切れる瞬間を待ってみましょう。相手の言葉をさえぎることなく「ごめんなさい」を伝えられたらクリアです。
相手を不快にさせたことだけを謝る
「ごめんなさい」を言いやすくするコツは、すべてについて謝るのではなく、責任範囲を限定して「相手を不快にさせたことだけを謝る」ことです。 私は現在、2人の子育ての真っ最中なのですが、2人がけんかをして、それを仲裁することがあります。そのときに、たとえば、弟のほうに「お姉ちゃんに謝ってほしいな」と私が伝えると、彼は謝りたくないオーラを全身から出します。「僕は悪くない!」と自分を守る気持ちを優先してしまうのです。 そんなときでも、「まずは、お姉ちゃんが『やめて』と言ってるのに、やめなかったことだけ謝ってみる?」と提案すると、すんなり受け入れてくれることがあって驚きます。子どもの世界においても、範囲を限定すると謝りやすいようです。 どちらが悪かったかはひとまず置いておいて、相手を不快にさせたことは間違いないので、そこについては「ごめんなさい」を伝えてみてください。逆に言うと、謝るのは相手を不快にさせたことに対してだけ。それ以外は謝らなくていいし、「申し訳ない」と思う必要もありません。 「悲しい気持ちにさせてごめんなさい」(ほかは知らないけど) 「がっかりさせてごめんね」(ほかは知らないけど) 「言い方が悪くてごめん」(ほかは知らないけど) こんな感じです。ただし、あくまでもイメージなので、くれぐれもカッコ内の言葉は声に出さないよう気をつけてください(笑)。 また、自分のせいで相手を不快にさせたような気はするけれど、なんで相手が怒っているのかわからないという場合は、こんな言いまわしも使えます。 「不快に感じさせていたとしたらごめんなさい」(本当の感情は知らないけど) こんなふうに伝え方に含みを持たせておくと、たとえ謝り方のツボをはずしてしまったとしても、そのあとの会話のなかで相手が感じていることを聞くきっかけをつくることができます。ぜひ、試してみてください。
林健太郎(エグゼクティブ・コ-チ)