F1特集|不当な評価か、それとも真の懸念か。レッドブルの“角田裕毅懐疑論”を紐解く
角田裕毅がお手本とすべき”良いドライバー”
パルメインは、角田が感情に流されてしまうことがあると認めた。しかし、角田が今取り組んでいるのはそこだ。コース上で上手く行かなかった際、怒りを一旦端に置いておくという行動を取るリカルドのような人物を近くで観察することで、角田は多くのことを学んだ。 「彼らはイライラすると、イライラしている自分にイライラするんだ! 彼はそれを理解しているし、そのために懸命に努力している」とパルメインは続けた。 「そしてそれは正しいことだ。ダニエルもそうだし、良いドライバーはみんなそうだ」 「オスカー(ピアストリ/マクラーレン)の無線を聞いてみてほしい。彼は2年目だが、決してイライラしない。それに彼は明らかにスピードがある。ランド(ノリス)がイライラしているのを聞くことはない。あるいは、イライラしているのを耳にすることは少ない。到達しなければならないレベルはそこだ」 「ブラジルのレースを見返したが、GP(ジャンピエロ・ランビアーゼ)とマックスは、まるで午後に一緒にコーヒーを飲んでいるようだった。それがベンチマークであり、彼らが取り組むべき全ての情報がそこにある」 「彼と一緒に取り組んでいる分野のひとつ。これも小さなことだ。彼らがやらなければいけないことは何百とある。でも上手くいっていない状況でも、彼はただ情報を入れるだけで良いというのを見抜いたのは正しい」 人生で自身を改善する鍵は、自分の弱点を理解し、改善のために努力することだ。 角田は今年、外部から疑問を抱かれている領域で確かな進歩を遂げたと感じている。しかし彼はさらなる改善が必要だと認識している。 「コミュニケーションの面では、主に無線でのやり取りだけでなく、言葉遣いや振る舞いも改善されたと言えると思います」と角田は言う。 「冷静さも間違いなく向上し、技術的なフィードバックも増え、集中力も増しました。1年を通して、確実に向上していることを実感しています」 ただ、結果的に2025年のレッドブル・レーシングでシートを得るには十分ではなかった。しかし数週間前、角田は興味深いことに、レッドブルから候補として挙げられている状況を冷静に見ているかと尋ねられた際、こう答えていた。 「正直なところ、メディアが言っていること、その他諸々を僕はあまり信用していません」と角田は言う。 「『ユウキが候補に挙がっている』とか言われても、それが本当かどうか、ただ僕を応援してくれているのかは分かりません。そんなことを考えるのは無意味です。本当に僕に関することなのか、そうではないのか? そういうことは自分でコントロールできませんし、最初のレースからずっとそう語ってきました」 「僕はただ力を発揮し続けるだけです。今シーズンのここまでの結果は、僕がそのシートに座るべき、少なくとも候補に挙がるできことを十分に証明していると思います」 「ただ彼らが指摘するような、『君がこのシートに座ることができないワケはこれだ』といった言い分や理由を少なくする必要があります」 「だから、自分でコントロールできることに集中する。それ以外は、ただ状況を受け入れて、彼らの判断に任せます」 「でも、彼らが考えているよりも、僕はもっと良い仕事ができると確信しています」
Jonathan Noble