F1特集|不当な評価か、それとも真の懸念か。レッドブルの“角田裕毅懐疑論”を紐解く
角田裕毅を取り巻くふたつの懸念材料
レッドブルは角田がメインチームでのチャンスを得るに十分な才能とスピードを持っていることを認める一方、ローソン起用を選択するにあたって、以前から懸念材料として挙げられてきたふたつの領域がある。 ひとつ目は技術的なフィードバックだ。現代F1マシンから最大限のパフォーマンスを引き出すために不可欠なモノを、角田が提供できるかが疑問視されてきた。 そして彼のパーソナリティの要素もある。悪名高い感情的な無線での口調は、F1という舞台で争う時に求められる気質なのかどうか、疑問を投げかける向きもあるだろう。 技術面では、最近アブダビで行なわれたテストで、角田はチームが必要とするモノを正確に届けることに集中し、この懸念は少し和らいだようだ。 レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は今週、角田ではなくローソンを起用した理由について語った際、そのことに言及した。 「ユウキは非常に速いドライバーだ」とESPNのインタビューに対してホーナー代表はそう語った。 「今は3~4シーズンの経験がある。アブダビでの我々のタイヤテストでも非常に良い仕事をしてくれたし、エンジニアも彼のパフォーマンスには感心していた」 「しかし我々は詳しい分析をした結果、リアムが走ったレースではペースが若干良く、彼だと感じた。予選ペースもユウキと非常にタイトだったし、リアムがたった11レースしかしていないというポテンシャルを考慮すると、彼はより良く、より強くなるに違いない。それに彼はメンタル面での強靭さやタフさを見せてきた」 ホーナー代表の最後のコメントは、角田が速いとはいえ、レッドブル・レーシングが求める性格的な頑強さを持ち合わせていないことを改めて示唆している。 しかし外の見解と内部の見解は必ずしも同じではない。角田と密接に仕事をしてきた者たちは、完璧とは程遠いものの、現状は一部が主張するモノとは大きく異なっているようだ。 RBのレーシングディレクターを務めるアラン・パルメインは、F1界の大ベテランとしてトップクラスのドライバーたちと仕事をしてきた。角田は情緒が不安定で、フィードバックが苦手という外部からの見解について尋ねられた際、パルメインは次のように答えた。 「正直なところ、私もその面では自信がないところがあった」 「もちろん、彼がもっと磨かなければならない部分や一貫性に欠ける部分はある。でも彼は24歳とかだろう? まだ若い子だから、それをやる時間は沢山ある。そして、彼は自分で何に取り組むべきか分かっている」 「彼がミスをした時、自分自身にイライラしているのが分かる。しかしスピードはある。それは間違いない」 「彼はとても速いし、フィードバックも英語も素晴らしい。過去にそれが足かせとなっていたかどうかは分からないが、限界は全く感じられないし、彼と一緒に仕事するのは楽しいよ」