老齢年金《60歳・65歳・70歳・75歳》どのタイミングで受給するのが得?損益分岐点をシミュレーション
年金はどのタイミングで受給するのが一番お得?
結論からお伝えすると、「年金をいつから受給するのが最もお得か」は、個人によって異なります。 つまり、75歳で年金を受給し始めた場合、その人の「寿命」によっては損をすることもあれば、得をすることもあるのです。 たとえば、繰下げ受給を利用して年金額を増やしたとしても、もし80歳で亡くなった場合、65歳から受給を始めたほうが得になります。 一方、90歳まで生きた場合には、繰下げ受給を選んだほうが、総受給額としては得になる可能性が高いです。 寿命は人それぞれですが、厚生労働省の調査によると、男性の平均寿命は「81.09歳」、女性は「87.14歳」です。 ただし、これらは「平均寿命」であり、病気や介護が必要な期間も含まれています。 日常生活に支障なく過ごせる期間である「健康寿命」は、平均寿命より短い傾向にあります。 そのため、年金の受給開始年齢を決める際には、平均寿命だけでなく健康寿命も考慮してシミュレーションすることが重要です。
《60歳・65歳・70歳・75歳》で受け取り始める年金額をシミュレーション
では最後に、「60歳・65歳・70歳・75歳」で年金を受け取り始めた場合のシミュレーションを行いましょう。 厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は14万3973円であるため、本章では年金月額を「14万円」と仮定して試算していきます。 70~90歳までの間に「繰上げ受給・本来の受給・繰下げ受給」の選択で受け取れるトータルの年金額は、下表のようになります。 70歳時点では、「繰上げ受給」が最も多くの年金を受け取っており、この時点では繰上げ受給が最もお得だと言えます。 しかし、75~80歳時点では、本来の受給開始年齢である「65歳から受給」が最も年金額が多くなり、85歳以降になると「繰下げ受給」が最もお得になります。 なお、同じ繰下げ受給でも「70歳から受給」のほうが、90歳時点での年金額が多くなり、「75歳から受給」がお得になるのは「92歳以降」です。 仮に90歳まで生きた場合、繰上げ受給・繰下げ受給を選ぶかで、約1000万円の差が生じます。 上記をふまえ、自分にとって最もお得な受給開始のタイミングを考えておくことが重要です。