阪神ドラ1・伊原 番長になる! 同郷のスターDeNA・三浦監督よろしく20年現役目指す
阪神からドラフト1位指名を受けたNTT西日本・伊原陵人投手(24)が19日、故郷の奈良県橿原市を訪れ、市長表敬などを行った。同市は今季DeNAを26年ぶりの日本一に導いた三浦大輔監督(50)も輩出。25年間の現役生活を送り、通算172勝を挙げたレジェンド右腕のように、息の長い投手となる決意を示した。この日は母校・八木中も訪問し、全校生徒の前であいさつした。 伊原が「虎の番長」になる。日本一になったDeNA・三浦監督は同じ橿原市出身。憧れるのは当然といえる。しかし、目指すのはリーゼント姿ではない。25年間の現役生活を全うした大先輩のように長寿投手になることが目標だ。 「もし三浦監督にお会いできれば、いろんな話を聞いてみたい。(長くできる)秘訣(ひけつ)を教えてもらいたい」 伊原自身は、1年目から戦力となることが長寿投手への第一歩だと考えている。「毎年毎年、一生懸命やった結果が10年、20年という野球人生につながっていくと思う」。大卒社会人、24歳という年齢でプロ入りする以上、即戦力としての期待に全力で応えるつもりだ。 「自分はもう、1年目でダメだったらクビになると思っている。年齢的にも、高校生とは違うので。最初から勝負です」 息の長い投手になれば地元を盛り上げることもできる。亀田忠彦市長への表敬訪問後には、母校の八木中を訪問。全校生徒約760人を前にサプライズで壇上に上がると、生徒から「えー!」と驚きの声が上がった。「僕のことを知っている人!」と促すと、8割ほどの生徒が挙手。あいさつを終え、校長室に戻ると、今度は数人の生徒が「六甲おろし」を熱唱して迎えた。改めて、阪神のドラフト1位として注目度の高さを実感した。 「長く野球を続けていれば、自分だけじゃなく、市民の方たちもうれしいと思う。頑張りたい」 恩師とも対面を果たした。八木中の河内剛校長は、伊原の中学時代、野球部の監督を務めていた。少年野球を終え、中学でいったん柔道部に入った伊原は、1年冬、長かった髪を丸刈りにして野球部入部を直訴。その際に河内校長は「一生、野球をやめるなよ」と約束して入部を許可した。野球を続けるきっかけをくれた恩師と再会し、一日でも長く野球を続けたい思いはさらに強くなった。 「その日ダメだったら終わる、くらいの気持ちで臨みたい」と伊原。毎日を積み重ね、いずれは番長のような大投手になる。(松本 航亮) ◇伊原 陵人(いはら・たかと)2000年(平12)8月7日生まれ、奈良県橿原市出身の24歳。小1から晩成フレンズで野球を始め、主に投手。八木中では軟式野球部。智弁学園では2年春から背番号11でベンチ入りし2年秋から背番号1。3年春に甲子園出場。大商大では2年秋に最優秀投手、3年春に最多勝、最優秀防御率でベストナインを受賞。NTT西日本では2年連続で都市対抗出場。1メートル70、77キロ。左投げ左打ち。 ▽奈良県橿原市 県中部に位置し、1956年に6町村が合併して発足。人口は約12万人で奈良市に次ぐ県下第2の都市。大和三山に囲まれた日本初の都・藤原京を擁し、日本最古の歌集・万葉集に詠まれた神社仏閣、江戸時代の町家が建ち並ぶ今井町など史跡が多く残る。主な出身者に三浦大輔、関本賢太郎(元阪神=現本紙評論家)、久保康友(元阪神=現ドイツリーグ)、野口智哉(オリックス)、高橋礼華氏(リオ五輪バドミントン女子ダブルス金メダリスト)、谷口徹(プロゴルファー)、中岡創一(お笑いコンビ「ロッチ」)らがいる。