進化示す連覇 正念場で上積み―神戸、Jリーグ優勝への軌跡
神戸の吉田監督は、Jリーグの闘いを「少しでも歯車が狂うと、優勝争いから残留争いになる」と言う。 【写真特集】Jリーグ歴代優勝チーム~1993年初代王者ヴェルディ川崎から~ 王者として臨んだ今季、大迫や武藤ら中心選手は残ったが「どこも対策を練ってくる。それを上回らなければならない」。連覇には上積みが必要だった。 昨季はロングボールやカウンターを武器に大迫が22ゴールを挙げ、得点王にも輝いたが、チームの総得点は60。エースが抑えられたときにどう打開するかがポイントになった。 補強で名前が挙がったのが、川崎に所属していた宮代だった。編成トップの永井スポーツダイレクターは東京Vユース監督時代に、宮代がいた川崎ユースと対戦。「監督をしていて、マンツーマンをつけたのは大聖(宮代)だけだった。それくらい当時からずぬけてた」 宮代の補強に成功し、元日本代表MF井手口やDF広瀬、GK新井と攻守にバランス良く選手を獲得。シーズン後半はアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)への出場で、過密日程になることを見据え、2チームを組めるような戦力を充実させた。 夏場には停滞する時期もあった。試合終盤に追い付かれる取りこぼしが2度あり、第27節に首位町田との勝ち点差は7まで広がった。サポーターからブーイングも受けたが、吉田監督は「これはやられたな、という試合は本当に少ない」とぶれなかった。 9月は分厚くなった選手層が生きた。短い試合間隔での7連戦を、選手を入れ替えながら6勝1分けで乗り切った。選手は「目の前の試合に集中するだけ」と繰り返した。第35節で首位に浮上。優勝争いは最終節までもつれたが、広島、町田の逆転を許さなかった。 宮代は大迫、武藤とともに2桁得点を挙げ、井手口は豊富な運動量で攻守の要に。昨季よりも日程が厳しくなった中、他チームの対策を上回って栄冠を再び手にした。進化を続ける神戸ならば、3連覇も夢ではない。そう思わせる戦いぶりだった。