教え子だった女子中学生に「性的暴行」、元校長に懲役10年を求刑 被害者側「可能な限り重い刑を」
14年前に勤務していた都内の公立中学校で、抵抗することが困難な状態だった教え子の女子生徒Aさん(当時14歳)に性的暴行を加えてケガをさせたとして、準強姦致傷などの罪に問われている元校長の男性被告人(57歳)の裁判員裁判が12月3日、東京地裁で開かれた。 検察側は「教師と生徒という圧倒的な上下関係を利用しており卑劣な犯行。公教育の信頼をも毀損するもので、厳罰が必要不可欠」として、懲役10年を求刑した。 弁護側は、Aさんが準強姦罪致傷に問われる程度のケガをしていたとは言えないとして、この事件について「免訴」を求めた。
●検察側「被告人の証言は信用できない」
起訴状などによると、被告人は勤め先の中学校で2010年6月、抗拒不能だったAさんに対して性的暴行を加え、1週間程度のケガをさせたとした準強姦致傷に問われている。 検察側は、求刑に先立ち、当時、Aさんにとって、被告人は学年主任や進路指導担当、部活動顧問の教師であり、指示には逆らえなかったと指摘。精神科医の証言などから、当時Aさんは被告人からグルーミング(性的てなづけ)を受け、被害を逃れようとする気持ちを失う「学習性無気力感の状態にあった」とした。 また、被告人は、Aさんと自分との関係を把握しており、Aさんが性的行為を受けている間にも苦痛を感じていることも認識していたとして、被告人が自身のストレスから「認知の歪み」が生じて、犯行に及んだとする証言は不合理で信用できないとした。 一方、弁護側は「Aさんは拒否できなかったとは言えず、流れに身を任せていた」として、抗拒不能状態にはなかったなどと主張し、準強姦致傷について無罪を主張した。 弁護人は「被告人は報道によって実質的な制裁を受けており、反省もしている」などとして、社会の中で更生可能であるとして、同じく起訴されている児童買春・ポルノ禁止法違反(所持)について、執行猶予を求めた。
●「生徒と教師の間には覆しようのない上下関係がある」
この日、Aさん側の代理人も意見を述べた。