経済人が考える日本の課題 財界セミナーの議論【前編】
セミナーでは記者によるクエスチョンタイムという時間が設けられました。これは記者会見というよりも、議論に記者も参加する形となりました。この中で、新浪剛史代表幹事は「政党法」の必要性を訴えました。 「(政党自身による)ガバナンスはなかなか難しい。自分でやるのは無理だと思う。政党法にさっそくいくべき。政党法を定めるタイミングだ、ぜひ進めていくべき」 政党法は政党に法人格を持たせ、資格要件を明確にして、国家が政党と認めるための法律です。政党が法人格を持てば、企業並みのガバナンスが期待されるというわけです。かつては法制化も検討されましたが,憲法の「集会結社の自由」との関連で反対論が強く、制定が見送られてきたという経緯があります。 1994年には政党交付金を受け取れる政党の要件などを定めた政党助成法が成立しました。今後、これを一歩進めて「政党法」につながっていくのか注目です。
私は新浪氏に企業献金が企業活動の中でどのように位置づけられるのかを質しました。 (畑中)企業献金は政党のガバナンスと対比して考える上で、利益誘導でないと言い切れるのか? (新浪)重要なのはトランスペアレンシー(情報の透明性)。誰が(カネを)出してどの政党にということがわかるようになっていることが重要。企業にとって献金がどう使われたのかもすごく重要。そうしないと説明責任が果たせない。今後は後者のところがすごく重要だ、何にどう使ったかというところがすごく重要なことだと思う 企業献金は透明性を確保した上で、一定の制約の下で必要…新浪氏の主張ですが、企業献金は利益誘導ではないのか?この疑問については明確な回答はなく、もやもやが残ったのが正直なところです。 経済同友会の夏季セミナーは2日間にわたり、濃密な議論が交わされました。後編は「投資拡大」「生成AI」について取り上げます。 ちなみに開催された場所は長野県の軽井沢、7月ですでにかなりの暑さで、もはや避暑地とは言えないほどの天気でした。これもいまの時代を象徴しているかもしれません。 後編に続く―― (了)