ベースフードに急浮上の大株主「食品のテスラだ」、「こんなチャンスは一生に何度もない」と巨額投資
厳しい業績にもかかわらず、株式市場で投資家から熱い注目を集める企業がある。「完全栄養食」としてパンやパスタなどを展開し、自社ECサイトや小売店で販売するベースフードだ。 【図表】ベースフードは今期ようやく黒字化が見えてきたところだが 同社は10月15日、中間決算の発表と同時に通期業績予想を下方修正した。期初計画の売上高190億円を157億円、営業利益1.6億円を5100万円とした。総菜パンなど新商品の不調が下方修正の要因だった。 ところが、下方修正にもかかわらず、ベースフードの株価は翌日の10月16日にストップ高となった。
決算と同時に農林水産省の「中小企業イノベーション創出推進事業」に採択されたと発表し、来期以降18億円超の補助金が得られることが材料視されたようだが、これは始まりに過ぎなかった。 ■全力で買い進む意外な人物 大株主に急浮上したのはパソコン周辺機器大手のバッファローを傘下に持つメルコホールディングスの牧寛之社長だ。同氏が10月16日にベースフード株を8.36%保有していることがわかると、それを材料に買いが先行することになる。
牧氏はその後も毎日のように買い進め、11月1日時点で保有割合はついに30.19%に達した。ベースフード創業者・橋本舜社長の33.67%(8月末時点)に次ぐ割合とみられる。 牧氏が11月1日までに投じた金額は約65億円。変更報告書では保有目的を「主要株主として長期安定保有します。重要提案行為等を行う予定はありません」としている。 長期保有が目的とはいえ、あまりにも大胆に買い進んだため、なぜ保有しているのか。なぜ今だったのか、いつまで持ち続けるかなど疑問は広がるばかりだ。
こうした疑問点を牧氏に直撃すると、弁護士を通じて10月31日夜に回答があった。以下、牧氏による説明をポイントを絞って掲載する。 ・ベースフードに投資をする理由について 大変将来が有望な会社。「ベースフードは食品業界のTESLAになる可能性がある」と10月15日に発表された決算資料から強い確信を持つに至った。 株券の保有については全額を制度信用取引の買建により、立花証券を通して行っている。信用取引だが、一定の段階で現引(※編集部注 株式を売却せずお金だけを返済し、現物株を受け取る方法)等を行う予定で考えている。