山田幸代×北川愛莉対談「社会人経験がスポーツ選手としての生き方にポジティブな影響を与える」
社会人経験が視野を広げ、人間形成に役立つ
北川「山田さんは会社員として2年働いた後にプロ宣言をされたと思うのですが、迷いや不安はありませんでしたか?」 山田「なかったですね。私の夢はラクロスを日本の子どもたちに普及することと、ラクロスを通して子どもたちの選択肢を増やすことです。その夢のために日本のラクロスを強くしたいと思っていて、オーストラリアに行くことやプロになることは手段でしかありませんでした。そのように目標が明確だったので迷いや不安はありませんでした。私が失敗したとしても、次の方が私の失敗から学べばよいのですから。今も自分が日本のラクロス界の新しいロールモデルになれるように努力していますし、前に道がなければ私が作ってやるという気持ちでやっています」 北川「そこまで強い気持ちで挑んでいたのですね。それでも、プロになって環境の変化に戸惑いはしませんでしたか?」 山田「時間が余ったことには戸惑いました」 北川「え、意外です。むしろ忙しくなったのかと思いました」 山田「それまで働いていた時間が全部余るようになったため、ヒマな時間がすごく増えてしまったのです。ただ、ヒマな時間を無駄にしていては子どもたちの目標にはなれませんし、人としてカッコよくないですよね。子どもたちのお手本になることを意識しながら、時間の使い方を他のプロ選手に聞いて試してみたり、大学院に行って勉強したりしました。そのように視野を広げる必要性を感じられたのは社会人経験があってこそだと思いますね」 北川「私は社会人になってまだ日が浅いですが、事務作業でのタイピングや備品の購入など、サッカー選手だけでは経験できないことが多く、人間形成に役立っていると感じます」 山田「どのような経験も無駄になりませんよね。だからこそ手を抜けず、両立するのが大変だという面もあるとは思いますが。会社には競技に関するサポート制度のようなものはありますか?」 北川「試合の前日はお休みにしてもらっています。土曜日が試合だったら金曜日がお休みですね。試合前日は体を休めたいので、とても助かっています」