「新型コロナ」パンデミックで1590万人が死亡、世界の平均寿命が1.6年短く
アメリカのGBD(Global Burden of Disease)の研究グループは、定期的に報告しているレポートの最新情報で「新型コロナウイルスの影響を受けて、2019~2021年の間に世界の平均寿命が1.6年縮小した」と発表しました。この内容について郷医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
GBDが発表した研究内容とは?
編集部: 今回、GBDの研究グループが発表した研究内容について教えてください。 郷先生: 今回紹介する研究成果は、学術誌「The Lancet」に掲載されています。論文によると、「2020年と2021年にパンデミックがなければ生きていたはずの人々が、全世界で1590万人死亡した」と推計しています。このうち2020年には590万人が、2021年には1000万人弱が死亡しています。これは2019~2021年の間に世界の平均寿命が1.6年縮小したことを示しており、この研究が開始されて以降、今回初めて平均寿命が縮小しました。 研究グループは「84%の国と地域でパンデミック期間中に寿命が短くなっており、これは新型コロナウイルスの破壊的な影響力を示している」と述べています。一方、オーストラリア、ニュージーランド、中国などの国では、パンデミックの早い時期に寿命が延びていました。こうした国ではパンデミック期間中の新型コロナウイルスの感染者数が、世界のほかの地域よりも少なかったものの、それが理由であるかどうかについては論文では言及していません。また、小児の死亡率はパンデミック期間中も減少を続け、2021年の5歳未満児の死亡者数は、2019年と比べて50万人少ない結果となりました。 研究グループは、「人口増加の減速と高齢化は、今後の人口増加が医療環境の悪い貧困地域に集中していくことに伴い、社会的、経済的、政治的に過去に類を見ない課題をもたらす。若年人口が縮小している地域における労働力不足や、人口の急増が続く地域での資源不足などとなる。これらの問題に対処するためには、影響を受ける地域において十分に先を見越した政策を取る必要がある」と述べています。