「新型コロナ」パンデミックで1590万人が死亡、世界の平均寿命が1.6年短く
今回の研究内容への受け止めは?
編集部: GBDの研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。 郷先生: 概ね予想通りの結果と言えるでしょう。新型コロナウイルスの感染による死亡はもちろんですが、パンデミックの期間中は通常医療ができなかったり、受診控えだったりの理由で、ほかの疾患による死亡率も上昇しました。これらの影響は、現在ではかなり改善されていると思われますが、まだ完全には制限を解除しきっていないところが現状です。少なくとも、早期発見をすることが我々に求められることであると言えるでしょう。
今後の新型コロナウイルスとの向き合い方は?
編集部: 2024年4月から新型コロナウイルスの治療体制が変わります。今後、私たちは新型コロナウイルスとどのように向き合っていけばいいのでしょうか? 郷先生: 4月以降、新型コロナウイルスは診療体制の変更で、多くの自己負担がかかるようになります。抗ウイルス薬による治療もかなりの負担増となるため、まずはかからないように、基本的な感染対策をおこなうことが引き続き求められます。インフルエンザと同様、周囲に感染させるリスクも考慮し、マスクと手指衛生は実施すべきと言えるでしょう。また、体調不良時には療養することも重要です。分類は変わるものの免疫不全者にとっては非常に致死的であり、ワクチンの効果が切れてきている人にとってはまだまだ重症肺炎になる可能性がある感染症です。引き続き、気を引き締めましょう。
編集部まとめ
アメリカのGBDの研究グループは、定期的に報告しているレポートの最新情報で、「新型コロナウイルスの影響を受けて、2019~2021年の間に世界の平均寿命が1.6年縮小した」と発表しました。社会に対して大きな影響を与えた新型コロナウイルスが、世界の平均寿命にも影響を及ぼしていたことを導き出した今回の研究は注目を集めそうです。
【この記事の監修医師】
郷 正憲 先生(徳島赤十字病院) 徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。