年が明けて「韓国の世論」に大きな変化が…尹錫悦大統領「逮捕状発付」で積み重なった「法律違反」の怪
首相まで弾劾
昨年12月に、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の弾劾訴追に続いて、尹大統領の権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相まで弾劾訴追となり、韓国は大統領も首相も職務権限が行使できない異常事態に陥った。 【写真】弾劾訴追案可決の韓国・尹錫悦大統領がひそかに狙う「一世一代の大博打」 この結果として、崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼財務大臣が尹大統領の代行の代行になったが、この崔副首相が野党の「共に民主党」の圧力に耐えきれなくなって、欠員となっている憲法裁判所の裁判官3名のうち2名を、従来の慣例を無視して「共に民主党」が国会での多数を占めている状況を利用して決めた候補を任命してしまうという、実に愚かな手を打ってしまった。 従来の慣例では、国会枠の3名は、与野党の合意に基づいて選定するとされており、野党側が一方的に選んだ候補が任命されるようなことは、許されてこなかった。この慣例を崔副首相は破ってしまったのだ。 崔副首相は、自分も弾劾訴追され、憲法裁判所で弾劾裁判を受け、最終的に刑務所送りにされる危険を感じると、理不尽でも妥協する方向を向いてしまったのだろう。 これにより崔副首相は、少なくとも当面は、野党の共に民主党による弾劾訴追のプレッシャーを受けずに済むようになりそうだが、この判断は与党側をピンチに追い込むだけでなく、韓国を民主主義国家から完全に転落させることにつながるかもしれない。
大統領府秘書官の抵抗
これにより憲法裁判所で尹錫悦大統領の弾劾が成立する見込みが、現段階ではかなり高くなったと、一応は言えそうだ。 崔副首相のこの判断にはついていけないとして、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長、成太胤(ソン・テユン)政策室長、申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長といった韓国大統領府の首席秘書官全員が、辞意を表明した。 彼らは崔副首相が憲法裁判所の裁判官の任命を行った12月31日に崔副首相と共に、戦死者を含む韓国のために尽くした人々が安置された国立墓地である国立顕忠院を訪れて、顕忠塔に参拝していた。大統領府側は、崔副首相に憲法裁判官を任命しないよう訴えていたのだが、これを崔副首相が受け入れなかった形となったのだ。 ただし彼らが退任してしまうと、韓国に安全保障の危機的状況が発生した場合に国家的な対応を取るのが非常に難しくなるため、崔副首相は辞表の受け取りを拒否して、3度に渡って辞表を差し戻していた。これを受けて彼らは、憲法裁判所裁判官の任命には依然として反発しながらも、辞表を撤回した模様だ。