年が明けて「韓国の世論」に大きな変化が…尹錫悦大統領「逮捕状発付」で積み重なった「法律違反」の怪
さすがのここまで来れば世論にも変化が
さてこうした混乱で揺れる韓国で、非常に興味深い世論調査が発表された。 韓国のエースリサーチが12月29日・30日の両日で行った世論調査では、野党「共に民主党」に対する支持が40.4%、与党「国民の力」に対する支持が35.7%となり、その差がわずか4.7ポイントまで急激に縮まったのだ。 11月の第二週で行われた前回調査では野党「共に民主党」に対する支持が41.9%、与党「国民の力」に対する支持が30.2%で、その差は11.7ポイントも開いていた。 尹大統領が非常戒厳を行ってからはその差はさらに広がっていた。 韓国ギャラップが12月17~19日にかけて行った世論調査では、野党「共に民主党」に対する支持が48%、与党「国民の力」に対する支持が24%で、その差は24ポイントもあり、「共に民主党」に対する支持は「国民の力」に対して2倍になっていたのだ。 非常戒厳宣布で「国民の力」のイメージが急激に悪化し、非常戒厳宣布からわずか10日ほどで1万4000人以上が離党する事態まで発生していた。 こんな状態からすると、韓悳洙(ハン・ドクス)首相の弾劾訴追に「共に民主党」がゴリ押しで走ってから、韓国の世論が大きく変わってきたことがよくわかるのではないか。 「共に民主党」に北朝鮮のスパイが集まっているなどと疑うことのなかった韓国民たちの中にも、尹大統領の非常戒厳発令以降に、実態はどうだったのかについて、ネットを駆使して調べる人たちもかなり増えたようだ。 この状況は、日本の兵庫県知事選挙の動きとかなり似ていると言えるだろう。 マスコミ報道によって一方的に悪者だと規定され、失職に追い込まれた斉藤元彦知事が返り咲くことなど、失職段階で予想できた人はほぼいなかっただろう。それがあそこまでの大逆転につながったのだ。 まだまだ予断は許されないが、韓国世論の動きからすると、尹大統領が勝てる見込みもかなり出てきたと言えるのかもしれない。 今後の戦いに注目していきたい。
朝香 豊(経済評論家)