年が明けて「韓国の世論」に大きな変化が…尹錫悦大統領「逮捕状発付」で積み重なった「法律違反」の怪
韓国では法治主義が機能不全
こうした事態を受けて尹大統領側も反撃に出ている。 尹大統領に対する逮捕状の発付が法的な権限を逸脱した行為であることを、憲法裁判所に認めるようにとの申立てを尹大統領側が行ったのだ。 こうした尹大統領側の動きをものともしないで、公捜処は逮捕状の執行に動こうとした。その際に、韓国軍警護部隊は本来の任務から外れ、大統領公邸正門を逮捕チームに開放して、公捜処に協力する動きに出た。 朴鍾俊(パク・ジョンジュン)大統領警護処長は、大統領警護法第15条に基づき、韓国軍の第55警備団と韓国警察の202警備団に隊員の追加派遣を要請したが、いずれも拒否された。これまた法律違反である。 さらに大統領代行となっている崔相穆副首相からも追加派遣要請の指示が行われたのだが、これまた機能しなかったのだ。 こうしたところにも韓国では法治主義が機能不全になっているところが見て取れる。 それでも、大統領府警護処の職員が公邸の200メートルほど手前でこの動きを阻止し続け、5時間半にわたり睨み合いを続けた末に、公捜処側は撤収に追い込まれた。 なお、公捜処は5日にも令状の再執行に踏み切ると見られている。 こうした法手続きの無視が徐々に明らかになってきて、これが尹大統領側に有利に働いてきているところもある。 さて法治主義の機能不全といえば、尹大統領を弾劾訴追した韓国国会側が、憲法裁判所で、刑法上の内乱罪に該当するという主張を撤回すると表明するという、摩訶不思議な出来事まで起こっている。 非常戒厳が憲法違反かどうかにのみ集中して弾劾審判の審理を迅速に進めてもらいたいとのことだが、弾劾訴追議決書に盛り込まれた罪状である内乱罪を任意に排除するなんてことは、そもそも許されるはずはないだろう。 それなら一旦は弾劾訴追を停止し、改めて国会で非常戒厳のみで弾劾訴追するかどうかを審議するところからやり直すべきではないのか。 韓国については、法の規定よりも国民情緒の方が優先されるということがよく言われるが、それは韓国が先進国とは言えないという話でもある。