“鍋奉行”はマナー違反? 取り分けるときに注意することとは 気になる鍋宴会での振る舞いを聞いた
鍋料理がおいしい季節です。家族や友人、職場の人たちと鍋を囲む機会もあるでしょう。お店の人にすべてお任せの場合は別ですが、自分たちで鍋料理を作って取り分けるとき、振る舞いに迷うことも。いわゆる“鍋奉行”のように仕切ったり、積極的に取り分けたりしたほうがいいのでしょうか? 気になる鍋料理のマナーについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。 【写真】鍋のときにうっかりやってしまいがち 箸のマナー違反の写真 ◇ ◇ ◇
みんなが遠慮しがちな席ならば“鍋奉行”に任せるのも手
自分たちで具材を鍋に入れる場合、どう振る舞えばいいか迷うこともあるかもしれません。とくに、仕事関係の会食や初対面の人との食事会など、遠慮しがちな宴会の席であればなおさらです。もし鍋作りを仕切りたい、いわゆる“鍋奉行”の人がいるのならば、お任せすると円滑だと思います。 誰もいないようであれば、自分が鍋に近い席にいる場合、周囲にひと言かけてから具材を入れていくのがスマートです。基本的には根菜や白菜の芯など火の通りにくい食材、しらたきなど味が染みにくい食材、そして鶏肉や魚介類などだしが出る食材を先に。温まってきたらキノコ類や豆腐、沸騰したら春菊や白菜の葉の部分など火が通りやすいものを入れます。わからない場合は、お店の人に聞くといいでしょう。 完成したら、基本的に取り分ける必要はありません。ただ、みんなが遠慮しているなら、最初だけ取り分けを引き受けてもいいでしょう。また、大人数のため鍋から席が遠く、手の届かない人もいます。その場合、「よろしければお取り分けいたします。苦手なものはありませんか?」などと声をかけてから行うといいでしょう。 根菜など大きめの具材を先に入れて、その上に肉や魚、豆腐などを盛り、ニンジンや春菊など彩りのあるものを添えて汁を入れるのが取り分けのコツ。器の7~8割の量を目安にしましょう。
直箸、逆さ箸、味変、戻し、手皿…鍋料理のマナー違反とは
“鍋奉行”がいてもいなくても、大人数で囲む鍋料理で、作ったり取り分けたりする際に直箸を使うことはマナー違反です。「自分は平気」と思っても、嫌がる人もいることを忘れずに振る舞いましょう。 鍋を取り分けるときは、専用の「取り箸」を使います。また、自分の箸を逆さにして鍋の具材を取るのもNGです。もし取り箸が用意されていない場合は、お店の人にお願いしましょう。 鍋料理の取り分け用の器を「呑水(とんすい)」といいます。取り分ける際に熱くて持てないことがないよう、取っ手(高台部分)がついているのが特徴です。鍋料理を食べる際は、この呑水を手で持ち上げて口元に近づけ、箸で具材を食べるようにしましょう。呑水をテーブルに置いたまま、具材を箸でつまみ、手皿で食べるのはマナー違反なので気をつけてください。和食では、小皿は持ち上げて食べるのがマナーです。 うっかりやってしまいがちですが、箸についてもマナーがあります。箸を置く際、つい呑水や小鉢、小皿に渡して置きたくなってしまいますが、これは「渡し箸」といって和食マナーのNGのひとつです。箸を置くときは、必ず箸置きや折り目をつけた箸袋に置くか、または小皿のフチに箸先を立てかけるようにして置きましょう。 鍋作りを仕切っているからといって、勝手に鍋自体に調味料を加えて味変したり、呑水に取り分けたものを鍋に戻したりするのはご法度です。食べたくない人にたくさん取り分けするのも、配慮がなくマナー違反といえます。みんなで囲む鍋料理だということを忘れずに、楽しい時間を過ごしたいですね。
Hint-Pot編集部