乳房全摘のあと…乳がんになった篠崎愛マネージャーが涙したプロバスケ選手からの「言葉」
「あなたは恵まれているんだよ」
左乳とリンパを全摘し、再生手術は受けない。根治を目指し、前向きに生きるための選択をした。手術した時期はまだコロナの影響があり、家族の付き添いもなくひとりで入院した。姉が手術時は病院で待機してくれた。 「心配をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいでした。病室に入ってもらうことはできなかったけど、手術室から出て来たとき に声を掛けてくれて ホッとした」(五間岩) 手術は2時間。予定より早く終わった。術後はすぐに意識がはっきりとしたため、カテーテルを早いタイミングで抜いてもらい病室内を自由に歩けるようになった。痛み止めを一度も飲む必要がなく拍子抜けした。 手術から8日目に退院。12日後の診察で、切除部分の生検結果の結果、左胸とリンパにがん細胞が消えていた と告げられた。結果次第では放射線治療を追加する可能性もあったため、思わずガッツポーズをした。片岡がわがことのように喜んでくれて嬉しかった。 ところが、このあとさらに再発予防のための抗がん剤を 13回にわたって投与する治療方針が示されたのだ。苦しい治療と手術を乗り越え安心し切っていた五間岩は「え~っ、まだ続くんですか!?がんは消えたのに!しかも13回!?嫌だなぁ……」。 すると、あのやさしい片岡が顔をぎゅっと引き締めこう言った。 「五間岩さんは恵まれているのよ。医療の発達によって根治させるために術後に投与する抗がん剤があること。それが有効なガン細胞だったこと。13回投与できる体力とお金があって、病院に通いやすいところに住んでいて、ご家族やいろんな人が助けてくれている。待合室を見てごらん。大きな荷物をもった老夫婦が支えあって田舎から泊りがけで一生懸命に来ているよ。患者さんの中には、いろいろな理由で治療を受けたくても受けられない人がいるんだよ。治療を嫌だなんて言ってはいけないよ。五間岩さんなら頑張れる!」
先生から叱られ、人として成長
五間岩の頭に、支えてくれた人たちの顔が浮かんだ。姉はがん研に移ってから、がんの正体が分かるまでの検査結果時はいつも病院に付き添ってくれた。マネージメントを担当している篠崎愛は「現場から離れないでね。私が五間岩さんのペースに合わせるから」と言ってくれた。撮影で沖縄行きの飛行機に遅れそうになった時、手術前に抗がん剤治療で足がむくんで動きづらい自分に「私が先に行ってお願いするから」と告げ、懸命に走ってくれた。副作用で食欲のない五間岩のために食べやすいものを用意してくれたスタッフもいた。恵まれている。頑張らねば。 「最後までちゃんと闘いなさいと喝を入れられた気がした。先生からおしかりを受け、人としても成長することができました」 五間岩がそう神妙に振り返ったことを伝えると、片岡は「私からすると当たり前のことを言ったに過ぎないんです」と笑顔で首をすくめた。 「業界的にも性格的にも、元気じゃない姿や、くたばってる姿とかを多分見せたくないんだろうなと理解していました。カッコよくバリバリ仕事をするのがあの方のカラーだと。だからこそ、自信を持って私は克服したぞっていう気持ちを持ってほしいと思ったので、そんなふうに言いました」 片岡が話したように、芸能界は真夜中に会っても「おはようございます」とあいさつをする習慣があり 、24時間を一日のスタートであるかのように振る舞う社会に見える。片岡は五間岩に「お酒は10年やめたほうがいい。五間岩さんのガンは不規則な生活習慣もできた一因だから」とも告げた。五間岩から「ガチガチの男性社会」と聞いていたこともあって「こっちは医者としてきちんと治すので、それを糧にしてまたキャリアアップというか、もっと高みを目指してほしいですね」。 ただし、どの患者にもそのように接しているという。片岡は「小さいお子さんがいるママさんとか、あるいはもっと年配の女性であっても、その方の人生を応援したい。患者さんが好きなんですね。そういう気持ちが五間岩さんに伝わったのなら、私も嬉しいです」と目じりを下げた。