阪神のボーアとサンズがNPB史上初の新外国人アベック満塁弾…外国人野手の”黒歴史”にピリオドを打てるのか?
懸念材料は残る
ボーアは、28試合105打席で打率.272、7本、19打点、12四死球、23三振の数字。サンズは23試合91打席で打率.316、6本、20打点、12四球、23三振で、まだ規定打席には到達していないが、得点圏打率は.500あり、ヤクルト村上の.462よりも上になる。またOPS(出塁率+長打率)も広島の鈴木、巨人の岡本、ヤクルトの木、広島の堂林に次いで“隠れ5位“にある。今やセ・リーグを代表する強打者の数字だ。 もう2人の実力に疑いはないと言っていいのだろうか。 事前に元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏に2人の評価を聞いていた。 「ボーアは、インコースのストレートをライトに引っ張ってホームランにできたら合格です。ただ、まだインコースのストレート系が打てない。打たれている投手は、そこを攻めきれていません。そこを徹底して意識させれば、開幕当初、左腕に対して、そうだったように体が開いて外のチェンジアップや変化球に対応できなくなる可能性があります。今は相手の失投を打ち損じていないという状況。失投も仕留めきれない選手が多い中、そこは評価できるでしょうが、まだ本物、合格とは言えません」 この日の満塁弾に意味があるのは、ボーアが得意としている“半速球“ではなくストレートを狙って本塁打にしたことだろう。里崎氏が指摘するインサイドではなく、得意とする低めの真ん中ではあったが、いつもの変化球狙いではなくストレートを狙っていたところになんらかの意識の変化があったのかもしれない。 では、サンズはどうだろう。 里崎氏は打撃フォームの改善を指摘した。 「サンズは、上体が動かなくなりましたね。練習試合から開幕の頃は、前後の動きが大きかったのですが、今は、体をふらなくなり、軸ができて、そこで体が回るようになっています。だからバットがスパっと出る。明らかに形が変化しています。細かく配球は見ていませんが、彼にも打てない弱点があります。真価を問われるのは、そこを研究された後ですね」 2人には、まだ懸念される不安材料は残る。 それでも、他球団に与えている脅威と、ここまでのチーム貢献度は、成功の部類に入るだろう。 阪神の新外国人野手には最近も続いている”黒歴史”がある。最強助っ人のランディ・バースがいつも引き合いに出されるのも、そのためだ。