今宮戎「十日戎」“福娘”に授与される着物とは?今年の着物と変遷を辿る
平成20年頃といえば、ちょうどmixiやTwitter(現・X)といったSNSが普及しはじめた時代。ちょうどこの頃に写真で福娘とわかる意匠に変更されたのは、インターネットでの拡散を見越した時代の先読みもあったのかもしれません。 <写真>左から、平成21年度、平成22年度の着物。烏帽子や打出の小づちなど今宮戎神社ならではのモチーフが描かれている。
令和6年の福娘の着物は?
平成20年(2008年)頃までは朱色系の着物ばかりが続いていたので、昔からご存じの方は、福娘=朱色の着物というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。ここ15年は、その色も年によってさまざま。「来年の福娘の着物は何色か」、年末になると、大阪では季節の話題としてそんな会話も飛び交います。 「平成24年(2012年)に福娘が第60代を迎えたことを機に、新しい着物のデザインを福娘に考えてもらおう、という話が持ち上がりました。その後、福娘のOG会からデザインを募り、選ばれたデザインが平成29年度(2017年)第65代福娘の着物から採用されることになったのです。その時のデザインを踏襲したものが令和6年まで続いています」と英さん。 数多くの公募の中から選ばれたのは、デザイン募集の年に現役だった平成27年度(2015年)第63代の福娘の方によるデザイン。大小の円の中に、宝恵駕や福笹といった縁起物が描かれたおめでたいデザインは、金の烏帽子と千早を身に着ける福娘をより一層華やかに見せてくれます。現役と近い世代がデザインしたことで、福娘たちからも大好評だったそう。 <写真>採用されたデザインの原案。
「着物の色選びについては、ある程度、世の中の雰囲気を反映したいと思っています。令和5年(2023年)はコロナ禍を乗り越えつつも、まだ悩まされている方もいらっしゃる年でした。濃い色だけれど派手になりすぎないことを意識して、令和6年の着物は花紺青(はなこんじょう)色を選びました」 <写真>複数の青の色見本から花紺青色に。令和6年は辰年。小誌で活躍する占い師・木下レオンさんによると、龍神様を象徴する青色は令和6年のラッキーカラーだそう。