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RSウイルス感染症は高齢者と乳児・新生児が高リスク
インフルエンザワクチン、コロナワクチン、帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチン。みなさんはこれらのワクチン接種はどうされていますか? いずれも重症化回避のために高齢者が受けた方がいいとされるワクチンになります。そして高齢者で検討したいワクチンといえば、RSウイルスワクチンもあります。 昨年9月、60歳以上に国内で初めてRSウイルスワクチンの製造販売が承認されました。60歳以上へのRSウイルスワクチンを製造販売する製薬会社「グラクソ・スミスクライン」が行った「RSウイルス感染症と予防に関する日本人の意識調査」(60歳以上の男女6200人対象)では、RSウイルス感染症という疾患について「ある程度/詳しく知っている」と回答した人の割合は17%、RSワクチンについては7%でした。読者の中にも、RSウイルス感染症やRSウイルスワクチンという言葉に首をかしげる方がいるのではないでしょうか。 RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することで引き起こされる呼吸器疾患です。症状は発熱、鼻汁、咳。特効薬はありません。 元々、乳児や新生児の病気として考えられてきましたが、近年、高齢者にも重篤な症状をもたらすことが明らかになっています。高齢者は免疫力が落ちているので感染しやすく、基礎疾患を持っていれば重症化しやすい。 RSウイルス感染症の入院率比を示したデータでは、喘息がある人は2~3.6倍、COPD(慢性閉塞性肺疾患)がある人は3.2~13.4倍、糖尿病がある人は2.4~11.4倍、冠動脈疾患がある人は3.7~7倍、うっ血性心不全がある人は4~33.2倍となっています。 さらにRSウイルス感染症は症状が長く続き、回復まで時間がかかる病気。高齢者ではRSウイルス感染症にかかったことから、フレイル(虚弱)や寝たきり、介護へと移行する恐れがあります。入院となれば、一層、そのリスクが高くなるでしょう。当然、認知機能へも影響すると考えられます。 RSウイルスワクチンを含め、ワクチン接種をどうするかは個々の考えがありますので、「受けるべき」とまでは言いません。しかし、病気に対する正しい知識は持つべきです。根拠のない情報に惑わされず、自分はどうするか、家族にはどうして欲しいか、検討してみてください。 (新井平伊/順天堂大学医学部名誉教授)