『監督が怒ってはいけない大会』に密着!主宰のバレーボール元日本代表・益子直美さんが「スポーツの指導に“怒り”はいらない!」と主張する理由は?
日本の勝利至上主義をなくし、「スポーツマン=グッドフェロー」に書き換えたい
――大会の今後の展望を教えてください 益子さん 始めたときは10年でやめようと思っていました。今年は10年目のラストの年ですが、最近、各界のアスリートの方々が参加してくださるなど、仲間も増えてきてまだやめられないかなと思っています。 今はセカンドステージとして『つながるリーグ』を開催していて、これは勝利至上主義の仕組みをなくした、負けてもまた次があるリーグ戦です。1回負けたら終わりではないので、みんなが出られるルールにして。大会も各地に広がってきているので、この活動の輪を増やしていきたいなと思っています。 ――益子さんご自身の夢はありますか? 益子さん 日本の広辞苑で「スポーツマン」と引くと、「運動の得意な人、または競技の人」って書いてあるんですね。私の認識では、全国大会に出ているような人じゃないとスポーツマンって言えないっていうような価値観だと思っています。 でも、スポーツが生まれたイギリスの当時の辞書には、「スポーツマン=グッドフェロー」、つまりよき仲間という意味で、他人から信頼されるかっこいい人という風な書き方をされていて。 今の日本の子どもたちは勝利至上主義の価値観で、自分たちのことはスポーツマンとは思えないという声が多い。これを変えたいなぁって。やっぱり土台となるスポーツの価値観を、日本の価値観を変えて広辞苑を塗り替えたいって思っています。
頑張る子どもの背中を優しく押せるような言葉を磨いて
益子さんや一緒に大会を主催している北川さん夫妻、多くのスタッフのゆるぎない信念のもと、活動を続けてきた本大会。10年前とは“怒る指導”に対する世間の意識も変わってきていると感じます。 子どもへの指導には“怒り”は不要。頑張っている子どもの背中を優しく押してあげられるよう、大人は理不尽な怒りに頼ることなく、日々言葉を磨く必要があると強く感じたインタビューでした。 【お話を聞いたのは】 益子直美さん|元バレーボール 全日本代表 中学時代からバレーボールを始め、高校時代は名門共栄学園のエースとして大活躍。高校3年の秋に全日本代表入り。1985年世界ジュニア代表となり新人賞を受賞。その後、新生「イトーヨーカドー」チームに入り、エースとして活躍。現在は、スポーツキャスターとしてテレビ・ラジオ・雑誌などで活躍。『監督が怒ってはいけない大会』を主催し、精力剤に活動を続けている。
取材・文/長南真理恵 構成/HugKum編集部