『監督が怒ってはいけない大会』に密着!主宰のバレーボール元日本代表・益子直美さんが「スポーツの指導に“怒り”はいらない!」と主張する理由は?
怒りを使わなくても勝てる!チームは強くなれる
――怒りを使った指導はどんなところが問題だとお考えですか? 益子さん スポーツは人生を豊かにする素晴らしいツールのはずなのに、怒られないように監督をチラチラ気にして見て、自分の意思では動けなくなっていく。監督の言われた通りに動く操り人形、ロボットのようになって、個性もなくなります。私自身もそうでした。 小学生はゴールデンエイジと呼ばれるくらいいろいろなものを吸収する大切な時期。自分で決めてやるからこそ成長がある。その喜びを感じられるような、それを後押しするような、指導者になってほしいなと思っています。 ■肝心の監督が大会に来ないことも… ――大会を運営する中で大変だったことはありますか? 益子さん ある地方で行った大会で、監督だと思っていた方々が実は別の先生や監督の息子さんで、監督本人が5名ほど来ていなかったことがありました。ショックでしたね。もちろん、来たくない気持ちは分かります。「俺たちは若い頃あんなに怒られて苦労したのに、なんで変わらなければいけないんだ」って、そういう価値観の監督もいたと思います。 一方で変わりたいという気持ちの方、怒る以外の指導方法を探したいと思って出てきてくださる方もいる。そういう方とともに進めていけたらいいなと思いますし、古い価値観の監督さんは、だんだん居場所がなくなってくるかもしれませんね。 嬉しいのは、この大会で最初に会ったときは高圧的で怖かった監督が、翌年の大会ですごくやわらかい雰囲気になり怒らなくなっていたとき。さらに嬉しいことに、福岡大会で初代スマイル賞に輝いた監督のチームが、今年の8月に開催された小学生連盟の全国大会で優勝したんです。 監督からメッセージが来て、「怒りを使わなくても勝てました」って。そういうチームが勝ってくれると、怒らなくても勝てるし、子どもたちはできるんだという自信が広がる気がします。時間はかかりましたが、10年目にしてじわりじわり来たなと感じています。