高齢者の預金等の管理の方法としての「日常生活自立支援事業」とは?
高齢の親と離れて生活する人にとって、親の現金や預金管理は心配の種です。 特殊詐欺や認知症発症への対応策は、銀行の「代理預金引き出し」から「成年後見制度」「家族信託」などの法的制度までさまざまあります。 今回は、全国の社会福祉協議会で行われている「日常生活自立支援事業」について学んでみましょう。
高齢者の資産管理に関するしくみと制度
高齢者の資産を管理する制度やしくみには、以下のようなものがあります。 ●「代理人カード」:民間の銀行などが発行する、ATMで本人に代わり入出金ができるカード 「予約型代理人」:認知・判断機能の低下により、本人による取引・手続きができなくなる場合に備え、あらかじめ代理人を指定しておくサービス(※1) ●「遺言代用信託」: 信託銀行等に財産を信託して、生存中は本人のために管理・運用してもらい、亡くなった後には、配偶者や子に財産を引き継ぐことができる信託 ●「成年後見制度」や「家族信託」:法律に基づく制度 ●全国の社会福祉協議会が運営する「日常生活自立支援事業」 今回はこのうち、日常生活自立支援事業について見ていきます。
日常生活自立支援事業とは
日常生活支援事業とは、全国の社会福祉協議会が提供するサービスの一つです。 大きく分けて3つのサービス項目があります(※2)。 ・福祉サービスの利用援助(利用支援) 住宅改造、居住家屋の賃借、日常生活上の消費契約および住民票の届出等の行政手続きに関する援助、その他福祉サービスの適切な利用のために必要な一連の援助 ・日常的金銭管理サービス 以下の項目についての預金の払い戻し、解約、預け入れの手続き (1)年金および福祉手当の受領に必要な手続き (2)医療費を支払う手続き (3)税金や社会保険料、公共料金を支払う手続き (4)日用品等の代金を支払う手続き ・書類等の預かりサービス 「年金証書」「預貯金の通帳」「権利証」「契約書類」「保険証書」「実印・銀行印」「その他、実施主体が適当と認めた書類(カードを含む)」を保管 書類等預かりサービスは金融機関の貸金庫を利用する場合もあり、その場合は実費負担となります。 日常生活支援事業のしくみは次表の通りです。