「勉強しても強くなる保証はない。でも…」 師匠の金言胸に、自信深める藤沢里菜二冠 〈マンスリー囲碁〉
「あまり自信がなかったんですが、自分の力を出し切れてまた獲得することができました」。５月３０日、東京都千代田区の日本棋院東京本院で行われた「第３５期女流名人戦博多・カマチ杯」の就位式で、２期ぶりに女流名人に返り咲いた藤沢里菜女流本因坊（２５）は笑顔を見せた。 藤沢女流本因坊は昨年１２月、国際女流棋戦の呉清源杯で準優勝を飾った。中国や韓国のトップ棋士らが参戦する大会で、初戦から準決勝まで中国の棋士相手に４連勝し、日本勢として歴代最高の結果を残した。 藤沢女流本因坊は祖父である故・藤沢秀行名誉棋聖の門下。就位式で主催者あいさつに立った日本棋院の小林覚理事長は「秀行先生がよく言っていたのは、『勉強しても強くなる保証はない。でも、しなければ必ず弱くなる』という言葉だった」と振り返り、「『努力する棋士』だった秀行先生のお孫さんが、世界でも優勝まであと一歩というところまで来ている」と喜びを語った。 藤沢女流本因坊は昨年の女流名人失冠後、「リーグ戦で勝ち上がって挑戦者にならないといけないのかと、すごくどん底になった気分だった」という。しかし、ふたを開けてみれば今期はリーグ戦から挑戦手合三番勝負まで全勝と、他を圧倒。「内容的にも、自分の打ちたいように打てている」と自信を深めた。 「私は全然努力家ではない」と謙遜しながらも、師匠の金言については「その言葉を胸に、これからも勉強を続けていきたい」と話した。（村嶋和樹）
