無難だった米雇用統計 FRBの利上げペースは変わらない?
5月CPIは高止まり予想
このように5月雇用統計は極めてタイトな労働需給の逼迫(ひっぱく)度合いが落ち着き、賃金の異常な上昇が終息しつつあることを示唆しました。もっとも、10日発表の5月消費者物価指数(CPI)は前年比+8.3%と高止まりが予想されており、インフレの再加速が懸念される状況にあります。食料・エネルギーを除いたコアCPIは前年比+5.9%へと4月の+6.2%から上昇鈍化が予想されているとはいえ、FRBが金融引き締めの手を緩める直接的な材料になるとは考えにくいです。 FRBは6月と7月のFOMCでそれぞれ0.5%ポイントの利上げを実施する公算が大きく、それ自体は既に市場参加者の共通認識になっています。現在、市場参加者の関心は9月FOMCの利上げ幅を0.25%ポイントに縮小するのか、あるいは50bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)を維持するのかに向かっていますが、その判断にはインフレがいつ、どれくらい、どういった経路で落ち着いてくるのかが重要になってきます。
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