老後は「月28万円」必要と聞きましたが、夫婦で年金をその程度もらえます。「アパート暮らし」でも問題なく暮らしていけますよね? 特に“ぜいたく”する予定もありません
これから定年を迎えるにあたり、どうやって生活費を捻出していこうか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。老後の生活費は家庭によりますが、総務省によると65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出の平均は月額で約28万円です。 この金額を見て、「夫婦でちょうどこれくらいの年金をもらえるから安心」と思う人もいるかもしれませんが、必ずしも安心とは言い切れない面があります。どういうことか詳しく見ていきましょう。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
老後に夫婦2人で必要なお金は毎月約28万円
総務省の「家計調査報告〔 家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出の平均は月額で28万2497円です。内訳としては、税金や社会保険料などの非消費支出が3万1538円、食費や住居費、光熱費などの消費支出が25万959円です。
28万円はあくまでも平均。特に住居費に注意が必要
総務省のデータを単純に見ると、夫婦で年金28万円をもらえれば、おおよそ年金だけで暮らしていけると思うかもしれません。しかし、このデータはあくまでも平均です。 例えば、消費支出の25万959円のうち、食費は29.1%を占めますので、金額にすると7万3000円ほどです。食材にこだわりがあったり、外食が多かったりする家庭では、この金額を大きく上回る場合もあるでしょう。 また、特に住居費には注意が必要です。このデータでは住居費は消費支出の6.7%程度で、金額にすると約1万7000円です。ただ、この金額は持ち家も賃貸も両方含んだ平均です。賃貸の家に住んでいると多くの場合、家賃はこれ以上かかります。 そのため、賃貸アパート等に老後も住んでいる人の場合、年金収入が夫婦で28万円あり、住居費以外の支出が平均並みだったとしても、住居費がかさんで全体の収支がマイナスとなってしまう場合も大いに考えられるでしょう。
老後を迎える前にまずはどれだけお金がかかるかを計算することが大切
老後にどれだけの年金がもらえるかは、50代以上であれば日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を見ると、おおよそ把握できます。 そして、将来受け取る年金の見込み額で生活ができるかどうかは、各家庭次第です。総務省の「28万円」はあくまでも平均ですので、それがそのまま自分たちに当てはまるとは限りません。 そのため、老後に年金だけでやりくりができるかどうかを考える際には、まずは老後にどれだけのお金がかかるのかを計算することが大切です。現時点の支出をベースにしつつ、それが年金生活の際にどう変わるのかを算出し、だいたいの目安をつけるところから始めましょう。