回避された徹夜国会。政治とカネ、予算案めぐる攻防の裏で「暗躍」したキーマンとは…
3月1日(金)夜の本会議場。時刻はすでに午後10時を回っていた。立憲民主党議員の財務大臣不信任案の弁明が延々と続く中、議場の内外を忙しく動き回る一人の男がいた。日本維新の会で国対委員長をつとめる遠藤敬衆議院議員だ。国会運営を滞りなく進めるため政党間の調整などを担う国対委員長だが、通常は本会議が開かれる前に交渉やお膳立てが完了していることが多い。 しかし、この日は違った。遠藤委員長が議席から何度も離れ院内にある立憲民主党の控室へと足を運ぶ。もちろん与党・国対のトップへも直談判。私は演壇の演説よりも議場内で自民・浜田国対委員長と話しこむ遠藤氏の姿に目を奪われた。この男の八面六臂の活躍で不可避と思われた徹夜国会が回避されたのだ。
徹夜に備え国会近くのコンビニは品薄状態に…
1日の昼間、議員会館など永田町周辺のコンビニエンスストアから、お弁当やおにぎり、サンドイッチが棚から次々と消えていった。「きょうは徹夜覚悟で、着替えを持ってきた」、「明日朝には終わっているのだろうか?」各党の国会議員や秘書、政党職員に記者まで、長い夜を前にどこか浮足立っていた。 衆議院の予算案通過をめぐり徹夜も辞さない深夜国会となるのではないか?という 情報が駆け巡っていたからだ。「政治とカネ」問題への対応が問われ続けている通常国会だが、同時並行で予算審議も進んでいる。政府与党である自民党としてはいつも通り年度内に予算を自然成立させる期限となる3月2日(土)までの予算案通過を目指していた。これに対し立憲民主党は審議が尽くされておらず、必要とされる審議時間をこなした後の3月4日(月)の予算案採決を提案。わずか1日、2日の違いと思われるかもしれないが、週をまたぐとスムーズに年度内での予算自然成立とならない。あくまで例年通りの可決成立を目指す自民党と徹底抗戦の構えを見せる立憲民主党。自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる攻防が予算案採決スケジュールにも影を落とし、意地と意地がぶつかり合っていた。これが徹夜国会となりそうな背景だった。