回避された徹夜国会。政治とカネ、予算案めぐる攻防の裏で「暗躍」したキーマンとは…
立憲は解任決議、不信任案で「フィリバスター」戦術
そんな中、事態はさらに進む。自民党が4日の採決を飲まない場合、立憲民主党は委員長解任決議案や大臣不信任案を次々と提出することで時間を引き延ばすことで、自民党に譲歩させることを画策していた。 そして3月1日午前、立憲は予算委員会の小野寺委員長解任決議案を提出した。解任決議案を審議する本会議場でとった策が…趣旨弁明の引き延ばし。解任決議の趣旨弁明を行う立憲民主党の山井和則議員が大きな紙袋を持ち込み、そこから大量の書類とファイルを取り出した。議場はどよめいた。 山井氏は安倍派など個別の議員の政治とカネの問題を一つ一つ取り上げつつ、議場からのヤジに反応しながら、時間を使っていく。議事妨害戦術の一つ、いわゆるフィリバスターだ。途中、何度か主旨に戻るよう額賀衆議院議長から注意を受けるも、実に2時間54分という衆議院では過去最長の趣旨弁明を行った。立憲議員は「彼は天才だ。演説がうますぎる。あれは才能だよ」などと感嘆の声を漏らした一方で、国民民主党の議員が途中で離席するなど、野党の足並みの乱れも垣間見られた。長い時間を経たものの解任決議案は与党などの反対多数で否決された。 すでに夕方遅くに達していたが、これだけでは終わらなかった。
いよいよ「徹夜国会」へ突入か…そこで「暗躍」した維新国対委員長
3月2日までに予算案を通過したい自民と、3月4日に先延ばししたい立憲。 意地の張り合いは続き、打開策も見つからない。そんな中、3月1日の夜10時、立憲から提出された2つめの“タマ”、財務大臣不信任案を審議する本会議が開会した。自民・立憲両議員が共に「今日は徹夜になるかもしれない」とあきらめにも似た心境を口にし、「相手が折れなければいけるところまでいく」と互いに徹底抗戦の姿勢で、永田町は徹夜国会に向けて一直線に進んでいた。 いざ徹夜国会に突入すれば国会職員や霞が関の官僚など、多くの公務員が残業を強いられ、多額の人件費が必要となる。我々マスコミも含めて皆の時間と体力が浪費されてしまうのだ。 もう避けられないとみられた徹夜国会の回避に向けて1人動いていたのが、維新・遠藤国対委員長だ。 維新・遠藤敬国対委員長「体力もしんどいし、役人たちやマスコミも深夜残業を強いられて、働き方改革の時代に逆行する動きだ」などと一貫して徹夜国会に否定的な発言を続けていた遠藤氏。“皆さんの平和のために頑張ります。最後の調整をしてきます”と言い残し、本会議場へと入っていった。 実はこの本会議の前、立憲国対は自民国対に徹夜国会を回避し一時休戦し、2日朝に仕切り直して2日のうちに予算案を通過させる日程を提案していたという。 関係者によると立憲側では「これ以上粘っても批判を浴びるだけで政党支持率も伸びない、何かしら譲歩すると期待した自民側も、頑なで動きそうもない。このままでは埒が明かない」という議論があったという。 しかし、自民側は“そういって時間を進めて、また2日に次々と解任決議案を出して時間稼ぎをされるのでは?”と疑心暗鬼となっていて、交渉が進んでいなかったのだ。