回避された徹夜国会。政治とカネ、予算案めぐる攻防の裏で「暗躍」したキーマンとは…
議場で直接交渉 ギリギリで徹夜国会回避
自民と立憲が信頼して交渉できる状況になっていないことを知った遠藤国対委員長。「自民国対とも関係性の深い自分が間に入ることで、この状況を打開できるかもしれない」「立憲側が譲歩する考えがあるなら、なんとか話をまとめられそうだ」と考えていた。 そして立憲側に、これ以上不信任案や解任決議案を提出し、時間稼ぎをしないように約束してもらったという。その確約を得て自民党の浜田国対委員長のもとへ。議場内での直接会話して伝えたのだ。 関係者によるとこの時遠藤氏は「立憲に“変なもの”は絶対に出させません、僕が責任持ちます。深夜国会に決着をつけましょう。」と両党の歩み寄りを提案したという。これをきっかけに、事態は急展開した。 立憲・安住淳国対委員長会(3月1日)「人道上の問題もあるだろうと。結果、明日は9時から、これ多分史上初めて土曜日、予算委員会集中審議のスタートということになります。(野党)4党足並み揃えて最後ゴールを切ろうというところまで来ましたので、どうぞご容赦いただきたいと思います」。徹夜国会が回避され、3月2日の予算案通過に向けて、舵が切られた瞬間だった。 翌2日、ぶら下がり取材に応じた維新・遠藤国対委員長は… 維新・遠藤敬国対委員長「朝5時までか?朝7時までか?と言う話だったですけど、その間ずっとみんな待つ。そんな悲惨な生産性のない時間を費やすこと許されない、それが回避できただけでも成果物になったと思います。」 本来の来年度予算案審議という点からはかけ離れたものではあったが国会担当記者として与野党の激しい攻防を間近で見ることができた。私個人としては体験したことのない深夜の国会、怖いもの見たさという半面、民主主義の手段とは言え日程闘争に振り回され、時間や体力を奪ってまで行うべきものなのかどうか複雑な心境も覚えた。国民はいま政治とカネの問題で実態解明が遅々として進まない現状に業を煮やし、呆れている。だからこそ、国会を空転させ無駄な時間を費やしている場合ではない。とかく国対の動きは国民の目から見えにくく時にその弊害も指摘されるが、今回のようにうまく軌道修正が図られている場合もある。そんな与野党の間をつなぐ名バイプレイヤーの動きに今後も注目していきたい。 報道情報局東京報道部 尾藤貴裕